ビッグデータとはインフラストラクチャ、つまり公共財として整備されるべきオープンなものであるべきだ。ビッグデータ活用を推し進める上で乗り越えるべき課題とは何か。ビッグデータの定義と事例、今後の課題を解説する。
定量的に取り扱えるデータの増大に伴う困難や、データ増大に伴う新しい発見の可能性自体は古くから指摘されていたが、近年注目されているビッグデータは単に膨大なデータ量を表す概念ではない。米Gartnerの定義を下敷きに考えると、ビッグデータとは量だけでなく多様性と時間的広がりを持った概念として表せる。ビッグデータが成立するためには、多様なデータ発生源が時間的広がりを持って大量に存在することと、発生したデータを収集・蓄積するインフラストラクチャ、収集・蓄積したデータを操作するためのツールが必要だ。さらに、操作して得た知見を利用してマネタイズする方法論がなければ研究止まりで事業化、ひいては社会インフラとして成立しない。
今回はスマートフォンに代表されるモバイルデバイスの普及をきっかけに広がるInternet of Things(※1)の一般化を前提とする。生成・収集されたデータの蓄積基盤(アクセス権など利用条件の制御機構を備える)や、操作ツールの成熟に向けて乗り越えるべき課題を検討する。それによって、ビッグデータの事業活用が持つ可能性を考えてみたい。
※1 Internet of Things:インターネットに、スマートフォンやカメラ、テレビ、自動車など、あらゆるモノ(things)がつながり、通信を可能にする技術(参考資料:「An Integral Part of the Future Internet」Stephan Haller、SAP Research)
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