サプライチェーンや顧客ニーズの複雑化を背景に、富士通が物流系システムを刷新する。物流コスト、品質の可視化・改善支援を包括的に行える仕組みになるという。
富士通は2012年8月23日、製造業・小売業などの物流領域向けの新シリーズ「Logifit」シリーズを発表した。シリーズは、WMS(倉庫管理システム)、TMS(輸配送管理システム)、LMS(統合物流管理システム)領域を包括的にカバーするものとなる。今回はその中でも、LMS領域における物流KPI(重要業績評価指標)を可視化し、コスト削減や品質向上に向けた改善策の策定を支援するモジュール「Logifit/LM-物流KPI」を先行して提供する。Logifit/LM-物流KPIの販売価格は900万円、5クライアントライセンス9万円となっている。
従来富士通では、物流製品として「LOMOS」「TRIAS」などの複数製品を展開してきたが、市場変化や物流業界そのものの商流の変化、顧客ビジネスモデルの変化に合わせた形でパッケージをリニューアルした。生産管理・販売管理・会計などの既存システムと連携した、物流統合基盤として位置付けられる。
富士通では現在、部門横断的な顧客ニーズ中心でのソリューション展開を推進しており、今回の製品も、同社民需ビジネス推進本部が企画を推進し、流通システム事業本部やコンサルティング部門などが共同で同製品の開発・サービス展開を行うという。
物流系のシステムを刷新し、新しい情報技術に対応させることで、今後リリースする予定のWMSやTMSなどの、より現場に近い領域の情報を使った、ビッグデータによるトレンド分析や計画最適化も推進しやすくなるとしている。
富士通では、今回提供を開始するLogifit/LM-物流KPIに続き、2013年にWMS機能を、2014年にTMS機能をリリースする予定だ。同システムは年商300億以上の物流部門を持つ国内企業約2000社を対象とするが、そのうち半数近い850社超が製造業になると見込んでいる。
物流部門全体の最適化を目指す新パッケージを提供する背景には、各社とも物流部門が情報を集め切れていない、あるいはシステマチックに改善が行えていない状況がある。場合によっては、自社製品の物流状況の情報そのものが外部化しており、可視化以前に情報を掌握できていないケースもあるという。情報の可視化・改善が遅れていることに加えて、サプライチェーンそのものの複雑化も、物流コスト改善を難しくしている要因だという。
「売上高物流コスト比率の推移を見ると、直近10年ほどは海外との取引の増加などで、サプライチェーン構造が大きく変わったために、コスト削減ができていない状況。その間にも、オンラインでの小口取引の増加など、顧客側のニーズも多様に変化してきている」(富士通 民需ビジネス推進本部 流通ビジネスソリューション推進統括部 シニアディレクター 中丸岳夫氏)
旧来のロジスティクス系製品で、一度はコスト削減成果が出てきていたものの、導入当初に想定していなかったサプライチェーン周辺環境の変化のために、さらなるコスト削減を望むのが難しくなっている状況がある。
システムは、JTRNの仕様に準拠したインタフェースを持つ。JTRN以外での接続は「何らかの変換パッケージを用意して提供することも検討している」(富士通 産業・流通システム事業本部 流通業ソリューション統括部 統括部長 末續肇氏)という。
今回提供を開始するLogifit/LM-物流KPIは、基本的に本社側で情報を集積して検証する用途のため、日本国内での利用を想定しているが、今後提供予定のWMS、LMS機能モジュールについては、多言語対応も行っていくとしている。
また、Logifit/LM-物流KPIでは基本的な物流の評価指標項目を用意する他、個別に指標を追加設定できるという。
富士通では「3領域にまたがる情報を一度に確認し、詳細まで掘り下げて見られるのが強み。この領域でトップシェアを目指す」(下島氏)としている。
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