中国軍部との関係が指摘されるHuawei Technologiesなどの中国ベンダーに対し、米国は懸念を隠さない。中国ベンダーの製品は、企業にとって本当に脅威なのだろうか?
グローバリゼーションによって、多国籍企業間や国家間の競争における障壁は低くなっている。テクノロジーが持つ国際的な性質は、ルーティングプロトコルのエラーコードの解読やファイアウォールの構成設定に日々奮闘しているITプロフェッショナルにとって恩恵だ。ボストンであれ、ブリュッセルであれ、コロンビアのボゴタであれ、世界のどこであろうと「IT組織がよりスムーズに、あるいはよりセキュアに実行する必要がある製品やサービスやデータ」が何かしらあるはずだからである。ただし、ますますフラット化する世界は、全ての人の好みに合うわけではない。
グローバリゼーションは、テクノロジーの世界にさまざまな利害関係の衝突を招いている。こうした衝突は、国際標準化機構(ISO)が制定するOSI参照モデルの第8層、第9層、第10層として、政治層、宗教層、経済層を設ける必要性を際立たせている。2006年には、情報セキュリティの分野で利害関係が激しく衝突する出来事が起きた。
イスラエルのセキュリティベンダーCheck Point Software Technologiesは、米セキュリティベンダーSourcefireを2億2500万ドルで買収する計画を発表。だが米連邦政府の委員会である対米外国投資委員会(CFIUS)との協議を経て、最終的にこの買収提案を取り下げたのだ。
CFIUSは当時、アラブ首長国連邦(UAE)の企業に対し、米国内の22の主要港を運営管理する英国の港湾管理会社の買収を認めたことをめぐり、政治的な猛反発に遭っていた。CFIUSの判断に対し、共和民主両党の連邦議員から猛反対の議論が沸き起こった。
2012年には、さらに激しい衝突が起きた。「米国の利益に脅威を与えている」として、中国の大手通信機器メーカーであるHuawei Technologies(Huawei)とZTEを約1年にわたって調査した米下院情報特別委員会(HPSCI)が、「当委員会の調査に対する両社の対応は不完全で曖昧で矛盾したものだった」と批判したのだ。
調査では、HuaweiとZTEの違法行為を裏付ける具体的な証拠は見つからなかった。だがHPSCIは、両社を「米国の安全保障上の脅威」と認定。米国の電気通信市場から両社の製品を排除するよう求めるとともに、両社の不公正取引慣行を調べる必要があると勧告している。
この勧告を受けて、政府機関のネットワーク管理者は購入リストからHuaweiとZTEを外さざるを得なくなった。だが両社とも米国IT市場への参入意欲は高く、製品の積極的な価格設定にも前向きな姿勢を見せている。こうした理由だけを取っても、民間企業は、リスクとその緩和策を十分に考慮した上で中国企業のIT製品を購入するか否かを判断し、妥当なアプローチを選択するチャンス(義務ではないにせよ)があるといえるだろう。
Huaweiをはじめとする中国企業からのIT製品購入についてしばしば言及される脅威には、想像の域を出なかったり可能性の低いものから、明確で深刻なビジネスリスクをもたらすものまで4種類ある。
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