TPP交渉のよくある誤解、「国民皆保険」はなくなるの?TPP交渉参加で日本の医療は変わるのか?(第2回)

いよいよ、日本がTPP交渉に参加した。その結果、日本の医療はどのような影響を受ける可能性があるのか? 「国民皆保険制度」「混合診療」「企業の病院経営参入」について論点を整理する。

2013年07月26日 08時00分 公開
[小田正規,青山学院大学WTO研究センター]

 TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の交渉への参加により、影響を受けると指摘されている分野の1つが医療分野である。医療関係者や学識者などからも懸念が表明されているが、TPP交渉において医療分野はどのように議論されているのだろうか。果たして、本当に日本の医療はTPP交渉によって変わるのだろうか。前回「交渉開始直前! TPPのどこに注目すべきか」では、TPP交渉の注目点について全体像を整理したが、今回から3回にわたって、個別の医療関連分野がTPP交渉でどのように扱われるのか、その結果、日本の医療はどのような影響を受ける可能性があるのかを見ていきたい。

国民皆保険はどうなるのか

 医療分野の中でも国民の関心が最も高いのが、「TPP交渉参加によって、日本の優れた国民皆保険制度が崩壊するのではないか」という点であろう。国民皆保険制度とは、全ての国民が公的支出を伴う何らかの医療保険制度(国民健康保険、企業健康保険、協会けんぽ、共済組合など)に加入し、一定の負担の下に低費用で医療を受けられる制度のことだ。TPP交渉参加国の多くも、公的な医療保険制度を構築している。

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