Windows Server 2003のサポート終了により、サーバ市場に変動が起こると予想されている。ここで漁夫の利を得そうなのがHP。一方、IBMとDellはHPに後れを取る可能性がある。
Windows Server 2003のサポート終了(EOL)まで、あと1年を切った。この機に社内インフラの刷新を検討し始めた企業を当て込んで、米HPは新たな法人契約の獲得に力を入れる堅実な策に出た。一方、ライバルの米IBMと米Dellは、将来の方向性が打ち出せずに苦境に陥っている。
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Windows Server 2003とWindows Server 2003 R2は、2015年7月14日に延長サポートが終了する。Windows Server 2003はサーバの世界でWindows XPに相当する製品だ。今なお1100万台のサーバでこの製品が稼働しており、その多くは基幹業務をホストしていると専門家は見積もっている。
米Microsoftの報告によれば、移行が必要なWindows Server 2003のライセンスは2200万件を超えるという。またHPの調査によると、サポート終了まで後1年足らずのこの時期になっても、顧客の60%はWindows Server 2003からの移行プランを立案すらしていない。
「Windows Server 2003(のEOL)は当社にとっては非常に大きなビジネスチャンスだ」と話すのは、HPでヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)のサーバ事業副責任者を務めるイアン・スティーブン氏だ。「Windows Server 2003のEOLは、転機の始まりにすぎない。これから企業のIT部門は、プラットフォームの移行に関する大きな決断に真剣に取り組まなければならない。今回は単なるOSのアップグレードではない。サーバ環境を一新することになるのだから」
世界の大企業には、Windows Server 2003が稼働しているサーバが現在でも数万台はあるとスティーブン氏は見込んでいる。「Windows Server 2012への移行を計画していた企業もあるが、IBMのx86サーバを利用している企業からは、Windows Server 2012に移行すると将来の保守がどうなるのかなど、不確定要素が多すぎるという疑問の声が上がった」と同氏は語る。
「IBMがx86サーバ事業を中国Lenovoに売却する話が実現していなければ、大企業はx86サーバの購入先を変更しようと考えることもなかっただろう。しかし、両社は既に合意に達した。これで当社に大きなチャンスが舞い込んできた」(スティーブン氏)
2014年8月に米国政府当局は、LenovoがIBMのx86サーバ事業を230億ドルで買収する計画を承認した。この事業売却計画は現在、欧州委員会とカナダならびに中国当局による最終承認を待っているところだ(訳注)。
訳注:原文執筆当時。2014年9月29日に、IBMとLenovoは事業買収が10月1日に完了すると発表した。
事業売却の発表当時、IBMのソフトウェアおよびシステム部門の上級副社長ならびに同部門の上層幹部を務めていたスティーブ・ミルズ氏は「サーバ事業の売却によって、IBMはコグニティブコンピューティング、ビッグデータ、クラウドなど、当社の事業の中で新たな価値を生み出す戦略的な分野であるシステムとソフトウェアのイノベーションへ集中できる」と語った。
「企業が自社インフラの大規模なリプレースプロジェクトに取り組む際、サーバのサプライヤーの将来に不安があるというのは一番避けたい要因だ」と、オランダのクラウドサービスプロバイダー、Eshgroの最高責任者であるアントン・ルーフェン氏は説明する。「顧客企業のCIOの視点でプロバイダー各社の将来性を評価すると、IBMは(サーバ事業よりも)サービスとクラウドの企業としての路線を模索しているし、Dellはそもそも社内体制の立て直しで今はほぼ手いっぱいの印象がある。HPにとって、Windows Server 2003のEOLは収益を上げる絶好の機会だ」(ルーフェン氏)
サーバ機の新たな契約の獲得を狙うHPは、単に安定性をアピールするだけではない。
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