通信教育を行っている英公立大学「オープン大学」は、教材に含まれる音声や映像の著作権管理に頭を悩ませていた。そこでライセンス管理ポータルの独自開発に着手。基盤にMicrosoft Azureを選んだ理由とは?
高等教育を提供する組織は、魅力的なカリキュラムを用意するプレッシャーに日々さらされている。そのため、多くの大学がインタラクティブな講義、個別指導、セミナーを毎日実施している。こうしたプレッシャーは、通信教育の草分けであるオープン大学(OU:Open University)でも同じだ。だが、大きく異なる点がある。OUの学生は、英ミルトンキーンズのキャンパスを訪れることはほとんどなく、(書籍、CD、DVDの)郵送やWebで教材を受け取らなければならないことだ。
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結果としてOUは、20万人の学生が科目に真剣に取り組めるよう、他の教育機関よりも多数のオーディオビジュアル(AV)コンテンツを使用することになる。そのため、同校職員が目にするビデオファイルの数は1万件を超える。
自前で作成するコンテンツもあるが、ほぼ全てのコンテンツは外部の製作会社に作成を委託している。これらのコンテンツをくまなく追跡することが、OUにとって大きな悩みの種となっている。
特に厄介なのは、第三者が著作権を持つ音楽や画像がビデオやオーディオに含まれる場合、それが使用許諾を受けていることを教材の検定担当が確認する義務があることだ。
OUの知的財産に関する責任者を務めるアルマ・ヘールズ氏によると、以前は職員が大量のビデオやオーディオを視聴し、第三者の資産が使われているかどうかを確認していた。これは時間がかかるだけでなく非効率だったという。
「使用されている全ての資材を記録し、その記録を使ってコンテンツを管理し、特定の教材に含まれる第三者の資産を正確に示すボタンを押すだけ、といったシステムが必要だった」と同氏は言う。
この状況に対処するため、OUのライセンスおよび購入チームは、2014〜2015年期の実用化を目指し、2013年後半にProduction Portalプロジェクトを立ち上げた。
予算内で期限に間に合わせるため、プロジェクトのインフラには米Microsoftの「Microsoft Azure」を使用することに決めた。他のクラウドプラットフォームを評価した上でAzureを選んだ理由は何か。OUの技術アーキテクト、グレン・ハーディング氏は、同校が既に非常に多くのMicrosoftテクノロジーを使用しており、今後統合上の問題が発生するリスクを減らすためだったと明かした。
「当校には、『Windows Server 2003』と『.NET Framework 2.0』を基盤に構築したレガシーシステムが多い上、当校の全サーバをアップグレードする大規なプロジェクトが進行していた」とハーディング氏は言う。「当初から、『SQL Server 2012』と『.NET Framework 4.0』を対象にしなければならなくなることは分かっていた」
しかし、Production Portalに着手する前にそれらがセットアップされる見込みがなかったため、チームはプロジェクトへの着手を遅らせるのではなく、直接Azureと連係することにした。
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