ライセンス管理ポータルを独自開発した大学がMicrosoft Azureを選んだ理由Microsoft Azure導入事例

通信教育を行っている英公立大学「オープン大学」は、教材に含まれる音声や映像の著作権管理に頭を悩ませていた。そこでライセンス管理ポータルの独自開発に着手。基盤にMicrosoft Azureを選んだ理由とは?

2015年11月11日 08時00分 公開
[Caroline DonnellyComputer Weekly]
Computer Weekly

 高等教育を提供する組織は、魅力的なカリキュラムを用意するプレッシャーに日々さらされている。そのため、多くの大学がインタラクティブな講義、個別指導、セミナーを毎日実施している。こうしたプレッシャーは、通信教育の草分けであるオープン大学(OU:Open University)でも同じだ。だが、大きく異なる点がある。OUの学生は、英ミルトンキーンズのキャンパスを訪れることはほとんどなく、(書籍、CD、DVDの)郵送やWebで教材を受け取らなければならないことだ。

Computer Weekly日本語版 11月4日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 11月4日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 結果としてOUは、20万人の学生が科目に真剣に取り組めるよう、他の教育機関よりも多数のオーディオビジュアル(AV)コンテンツを使用することになる。そのため、同校職員が目にするビデオファイルの数は1万件を超える。

 自前で作成するコンテンツもあるが、ほぼ全てのコンテンツは外部の製作会社に作成を委託している。これらのコンテンツをくまなく追跡することが、OUにとって大きな悩みの種となっている。

 特に厄介なのは、第三者が著作権を持つ音楽や画像がビデオやオーディオに含まれる場合、それが使用許諾を受けていることを教材の検定担当が確認する義務があることだ。

 OUの知的財産に関する責任者を務めるアルマ・ヘールズ氏によると、以前は職員が大量のビデオやオーディオを視聴し、第三者の資産が使われているかどうかを確認していた。これは時間がかかるだけでなく非効率だったという。

 「使用されている全ての資材を記録し、その記録を使ってコンテンツを管理し、特定の教材に含まれる第三者の資産を正確に示すボタンを押すだけ、といったシステムが必要だった」と同氏は言う。

 この状況に対処するため、OUのライセンスおよび購入チームは、2014~2015年期の実用化を目指し、2013年後半にProduction Portalプロジェクトを立ち上げた。

Microsoft Azureの選択

 予算内で期限に間に合わせるため、プロジェクトのインフラには米Microsoftの「Microsoft Azure」を使用することに決めた。他のクラウドプラットフォームを評価した上でAzureを選んだ理由は何か。OUの技術アーキテクト、グレン・ハーディング氏は、同校が既に非常に多くのMicrosoftテクノロジーを使用しており、今後統合上の問題が発生するリスクを減らすためだったと明かした。

 「当校には、『Windows Server 2003』と『.NET Framework 2.0』を基盤に構築したレガシーシステムが多い上、当校の全サーバをアップグレードする大規なプロジェクトが進行していた」とハーディング氏は言う。「当初から、『SQL Server 2012』と『.NET Framework 4.0』を対象にしなければならなくなることは分かっていた」

 しかし、Production Portalに着手する前にそれらがセットアップされる見込みがなかったため、チームはプロジェクトへの着手を遅らせるのではなく、直接Azureと連係することにした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 Datadog Japan合同会社

AWS、GCP、Azureなどクラウドネイティブ環境における5つのセキュリティ強化策

Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどクラウドネイティブ環境のセキュリティを強化するには何をすればよいのか。ログの収集や分析を高度化するためのベストプラクティスを解説する。

製品資料 Datadog Japan合同会社

AWSへのワークロード移行で可観測性を確保する方法とは?

AWSへのワークロード移行に際しては、既存インフラの可視性の不足や依存関係の複雑さといった課題が頻出する。こうした状況で、各サービスの稼働状況を俯瞰し、パフォーマンスの継続的な監視を行うためには可観測性の確保が不可欠だ。

製品資料 株式会社MONO-X

IBM i の資産を生かし、着実に DX へとつなげるモダナイゼーションの進め方

IBM i 基幹システムを運用する企業でモダナイゼーションが喫緊の課題となる中、推進の課題も多い。そこで、「クラウド」「ノーコード開発」「API」「AI」を主軸とするIBM i ユーザー向けモダナイゼーションサービスを紹介する。

製品資料 富士通株式会社

小売業のDXを加速する次世代のプラットフォームとは

小売業界にとって、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)の向上ならびにDX推進は重要度の高い課題である。多拠点、多店舗、他業態を展開する小売業でCXとEXをグローバルに向上する次世代のリテールコマースプラットフォームとは。

事例 株式会社BeeX

わずか4カ月でデータ分析基盤の内製化に成功、ロッテに学ぶDX推進の秘訣

ロッテはシステムのAWS移行を進める中、DX推進の鍵は内製化比率の向上にあると考え、内製化の強化に踏み切った。本資料では、内製化の実現に向け、支援を受けながら、初めて取り組んだAWS開発と人材育成を成功させた事例を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...