仮想PC、SBC、DaaSを比べる
混在環境が続くデスクトップ仮想化市場、どの方式を選ぶべき?(1/2 ページ)
Windows環境を最適化するソフトウェア「Norskale」を開発するフランス企業のCOOが来日し、世界の「デスクトップ仮想化」利用状況や配信方式のトレンドを語った。
デスクトップ仮想化の普及はどう進む?
「デスクトップ仮想化」は多くの顔を持つ技術だ。その導入の目的は、セキュリティ、事業継続、ワークスタイル変革など、企業によってさまざまだ。かつては導入がブームになっていた時期もあったが現在はどうなのか。検討する企業は一巡したような気配もある。
フランスのNorskaleは、Windows環境を最適化するソフトウェア「Norskale」を開発する企業だ。日本ではアセンテックが販売パートナーを務める。対象となるWindowsは、物理/仮想のクライアントの他にサーバも含むが、最も多く利用されている用途がクライアント環境の最適化だという。NorskaleのCOO(最高執行責任者)であるパトリック・ララン(Patrick Lalanne)氏は、Norskaleによって多くの企業のクライアント環境を改善してきたことから、企業のクライアント環境の実態をよく知っている。その経験から、「今後も企業は、仮想デスクトップと物理PCのどちらかに集約することはなく、当面は混在環境が続く」と分析する。今、世界のデスクトップ仮想化はどのような状況にあるのか。ララン氏に聞いた。
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コンサルティングの必要性から誕生した「Norskale」
Norskaleは200社、25万ライセンスを提供した実績を持つという。「最大規模のユーザーは、フランスの病院で8万ユーザーがNorskaleを利用している」とララン氏は話す。
「これまでの実績としては、欧州、米国、そして南アフリカにユーザーを持っているが、日本での提供が始まったことで、新たにアジア市場に進出することになる」。Norskaleでは、Windows環境を最適化するため、ワークロードを分析し、最適な設定を決定し調整する。OS、アプリケーションには依存せず、システムを不安定にさせることがないという。
対象となるWindows環境はクライアントだけでなくサーバも含むが、やはり多いのはクライアント環境を最適化するための利用だという。特にクライアント環境改善の中でも、仮想デスクトップを利用するユーザーの環境を改善した実績を持っている。
「もともとNorskaleの創業メンバーはコンサルティングビジネスを手掛けていた。仮想PC方式(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)とSBC(Server Based Computing)方式を構築するコンサルタント業務を行っていたのだが、どのユーザーも共通の問題に突き当たっていた。それはログイン時間が長い、アプリケーションの反応が遅いという問題だった」(ララン氏)
この問題を改善するためには、ハードウェアを交換することが定石。しかし、ハードウェア交換はそれなりにコストも掛かる。そこで「ソフトウェアを使った改善ができないのか?」と誕生したのがソフトウェアのNorskaleだった。当時はソフトウェアでパフォーマンスを向上させる製品が存在していなかったことから、自分達でソフトウェアを開発し、特許を取って、ソフトウェア販売を事業とすることとなった。
日本でNorskaleを販売するアセンテックもデスクトップ仮想化ソリューションを長年販売してきた企業だ。佐藤直浩社長は、「日本で7年間、デスクトップ仮想化ソリューションを提供してきた。これまでは、パフォーマンスを上げるためには、サーバの交換、高速ストレージの導入といったことで対応してきた。しかし、Norskaleは物理サーバを設計し直すのではなく、もっと簡単にパフォーマンスの見直しが実現できる。これは日本でデスクトップ仮想化を導入する企業に提供すべきだと考え、当社で取り扱いを行うこととなった」と説明する。
デスクトップ仮想化の利用をはばむ問題点は以前と変わらず
ただし、Norskaleを利用しているのはデスクトップ仮想化を導入する企業だけではない。
「これまでのユーザーの導入実績を見ると、物理PCと仮想デスクトップがほぼ半々」だとララン氏は話す。1社の環境としても「全てのクライアント機が仮想デスクトップという企業はほとんどない」という。
その理由は大きく2つだ。
- モバイルワーカーのように、ネットワークがないと利用できない業務のユーザーには仮想デスクトップはハードルが上がること
- 物理PCに比べコストが高くなること
が主な要因だ。
実際に企業と接する中で、「実は物理PCを使っているユーザーも、仮想デスクトップを使っているユーザーも同じ悩みを抱えている」とララン氏は指摘する。
「企業でPCを利用しているユーザーは、自分が利用するアプリケーションの動作が速くなることを望んでいる。クライアントマシンは、高パフォーマンスを実現しなければ、ユーザーは喜んで利用してくれない」(ララン氏)
実際、フランス企業LEROY MERLINの事例では、2万ユーザーの利用環境を改善した。同社は新規でデスクトップ仮想化のシステムを導入したものの、「ログオンまでの時間に45秒かかり、旧システムの方が快適に動作する。そのため、巨額を投じて導入した仮想デスクトップを利用するユーザーがいないという状況となっていた。その環境を改善するためにNorskaleを導入し、45秒かかっていた起動時間が10秒までに短縮。無事に新システムが利用されるようになった」(ララン氏)という。
また、Norskaleは、パフォーマンス改善とともにコスト改善も目指してきた。LEROY MERLINの事例でも、サーバのユーザー集約を実現したことでコスト削減に寄与した。
この事例からは、デスクトップ仮想化導入のネックとなっているのが、パフォーマンスとコストという、以前からの問題点であることが分かる。これらの問題が解決することでデスクトップ仮想の化普及につながっていくことは間違いないだろう。
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