Windows 7のサポート終了は、「Windowsか否か」を決断する最後のチャンスになるかもしれない。今、Windows 10ではなくChrome OSを選ぶことは可能だろうか。
前編(Computer Weekly日本語版 4月18日号掲載)では、企業向けクライアントOSとしての「Chrome OS」と、それを実装した「Chromebook」について解説した。
後編では、Windows 10への移行を考えている組織がChrome OS(Chromebook)を選ぶべき理由とChromebookのセキュリティ機能について解説する。
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調査会社Gartnerは1990年代後半、デスクトップITには無駄が多いという研究結果を発表した。Gartnerは当時、アンマネージドPCの平均運用コストを年間8000ドルと推定していた。この予算の削減に取り組むため、デスクトップIT管理はITリーダーにとっての最優先事項となったが、これが結果的にWindows環境への「監禁」につながった。
しかし、2000年代後半から顕著になったITのコンシューマー化により、企業内IT、特に業務で使うコンピュータは、従業員が日常的に使っている操作しやすい機器よりも劣ると感じる人が増えてきた。IT業界が出した答えとして、モバイル端末管理が進化した。これにより、企業ITの管理要件と従業員が個人所有の端末で社内システムにアクセスできる柔軟性のバランスが取れるようになった。
今日では、数々のテクノロジーの積み重ねによりますます複雑化するWindowsデスクトップコンピューティング環境をサポートする環境が構築されている。多くの企業向けアプリケーションはWindows環境でしか動作しない。しかし「Office 365」「Concur」「Workday」「Salesforce」など、SaaSで展開される人気の高いアプリケーションも登場している。これらは、AndroidやiOSでもブラウザ上で実行したりアプリとして使ったりできる可能性がある。
「われわれはWebベースのシステムを15年間扱ってきたが、企業は依然としてWindowsに大きく依存している。ChromebookとChrome OSは、OSの多様化の象徴だ」とブレイ氏は指摘する。
IT部門にとって、Windows 10はデスクトップIT管理について再考する機会であり、再考の際にはChrome OSでブラウザ専用アプリを使う環境にリプレースすることを真剣に議論すべきだと、ブレイ氏は主張する。
Computacenterは、Windows 10ベースのIT環境を「エバーグリーンコンピューティング」と呼んでいる。PCを最新状態に保つことはデスクトップITの管理者の責任ではなくなったからだ。OS更新作業の責任はMicrosoftと、セキュリティパッチやWindowsの新機能を自動的に展開するWindows Updateに移行した。
「管理面では、Windows 10によるエバーグリーンコンピューティングについて対話を重ねるうちに、Chrome OSはもう1つの選択肢としての可能性を備えているし、オーバーヘッドもさほど大きくないという認識に至った」とブレイ氏は話す。
Chrome OSはまだまだ主流とはいえないが、現時点でもある程度の魅力を感じると同氏は認めている。
また、理論上はChrome OSを使う場合はブラウザベースのみとするのが理想的だが、拡張も可能だ。さらに最新のChromebookでは、ユーザーがGoogle PlayストアからAndroidアプリをダウンロードすることもできる。ユーザーは、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)の「Chrome RDP」を使ってフル装備のWindows環境にアクセスできる。さらには、ブラウザ上でAmazon Web Services(AWS)アプリを共同開発できるインタラクティブな開発環境「AWS Cloud9」まで存在する。
基幹業務用のWindowsアプリケーションをローカルPCで実行する必要があるIT部門にとっては、CodeWeaversの「Crossover」が選択肢となる可能性がある。
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