DNS応答にデジタル署名を追加
DNSプロトコルを改ざんから守る「DNSSEC」 米国政府が導入を推進
DNSプロトコルのセキュリティを確保することは極めて重要だ。「DNS Security Extensions」(DNSSEC)と、DNSSEC導入を後押しするために米国政府が行っている取り組みを紹介する。
DNSプロトコルはインターネット登場当事に設計されたもので、IPアドレスの代わりに名前を使えるようにする。例えば「172.30.128.56」ではなく、「techtarget.com」を使えるようにする。残念ながら、当時はセキュリティが懸念されていなかったため、DNSプロトコルにはセキュリティ機能が組み込まれていない。攻撃者はDNS応答を偽装し、DNSを改ざんすることで、DNSを悪用する多くの手段を見つけてきた。これにより被害者は気付かずに有害なサイトへルーティングされる。
このような脅威を阻止することを目的に、DNSプロトコルの拡張機能として開発されたのが「Domain Name System Security Extensions」(DNSSEC)だ。基本的には、DNSSECがDNS応答にデジタル署名を追加する。DNSSECを利用する場合、PCはDNSクエリを送信して応答を受信するときに、まず応答に含まれるデジタル署名を検証し、その応答が正当であり改ざんされていないことを確認する。
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DNSプロトコルのDNSセキュリティは単純でも導入は難しい
根本的にはDNSSECの考え方はシンプルだ。だが、その導入ははるかに複雑になる。DNSSECは、公開鍵暗号とDSNサーバのDNSSEC機能の導入と管理を全てDNSレコードの保持者に委ねる。この公開鍵暗号が特に難しく、複雑なセキュリティ領域になる可能性がある。また、DNSSECには「鶏が先か卵が先か」という問題もある。DNSSEC対応のサーバを用意しても、クライアントPC(サーバ、ノートPC、スマートフォンなど)がDNSSEC対応にならなければ役に立たない。だが、DNSサーバが先にDNSSECをサポートしていない限り、クライアントPCでもDNSSECを利用する機運は高まらない。
利用拡大に向けた取り組み
DNSSECは開発から10年以上もたつのに利用が広がらない。米国立標準技術研究所(NIST)がSpecial Publication(SP)800-81『セキュアなドメインネームシステム(DNS)の導入ガイド』のオリジナル版を公開した2006年以来、米国政府はDNSSECの導入を推進してきた。同書は、米国政府機関などの組織がDNSに関するセキュリティの懸念と対処方法に関して理解を深めることを目的とする。同書にはDNSSECの仕組みの詳しい説明と、導入方法についてのアドバイスが含まる。それ以降、NISTは2013年に公開した最新バージョンまで800-81を2回更新している。
同書公開の数年後、米国行政管理予算局(OMB)が連邦機関に対してDNSSECを導入するよう要請する覚書を公開した。NISTは2010年にSP 800-53を更新し、影響力の大きい政府システムでのDNSSECの使用を求めている。2013年にリリースされた次バージョンのSP 800-53では、要件が大幅に拡大され、影響の大きさに関係なく全ての米国政府システムにおいてDNSSECの使用が義務付けられた。
NISTの刊行物とOMBの覚書は米国政府におけるDNSSECの導入に大きな影響を及ぼした。2017年時点でもDNSSECを導入していない政府ドメインはあるが、90%以上のドメインはDNSSECをサポートしており、独自の検査を行ったが問題は検出されなかった。これは、DNSプロトコルへのDNSSECの追加を、実社会でも実施できることを意味する。他の企業も政府機関の例に倣い、自社のサーバとクライアントへのDNSSECの導入を検討してはどうだろう。
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