セキュリティ業界の注目分野の一つとして、システム全体の保護を目指す「XDR」がある。XDRはセキュリティ市場において市民権を得ているのか。XDRベンダーSecureworksのCEOに聞いた。
攻撃の手口が巧妙化する中、脅威検出技術も変わりつつある。PCやスマートフォンといったエンドポイントを監視する「EDR」(Endpoint Detection and Response)の拡張版として、監視対象をクラウドサービスやネットワークなど他の領域にも広げた「XDR」(Extended Detection and Response)が登場している。Dell Technologies傘下のセキュリティベンダーSecureworksは「Taegis」ブランドで提供するXDR製品の開発に注力してきた。XDR市場の現状や、同社が目指していることについて、CEO(最高経営責任者)のウェンディ・トーマス氏に聞いた。
―― Secureworksは2019年にXDR開発に着手し、さまざまな製品を投入しています。Taegis の立ち上げをCPO(最高製品責任者)として統率し、その後CEOに就任されたご経験を踏まえて、XDRの「今」をどう捉えていますか。
トーマス氏 XDR分野には2つの興味深い動きがある。1つ目は、ユーザー企業がXDRの存在を認識するようになったことだ。2019年ごろ、当社がXDR製品の開発を始めたときは、「XDRとは何か」をいくら説明しても理解する人はほとんどいなかった。XDRの定義があいまいなことも逆風だった。現在も、正確にはEDRや「MDR」(Managed Detection and Response)と呼んだ方がいい製品をXDRとして販売するベンダーがある。ただしXDRについてのユーザー企業の理解が深まり、導入の機運が高まっていると見ている。
2つ目の動きは、XDR製品開発に当たっての「互換性」の追求だ。特にSecureworksはXDR製品の他社製品との連携しやすさに注力している。ユーザー企業のセキュリティのシステムを見ると、縦割りでさまざまなベンダーの製品が混在していることが分かる。クラウドサービスの採用によってシステムの複雑化がさらに進む傾向がある。そうした中、各製品やシステムを連携させるニーズが旺盛だと捉えている。その実現のためには、当社製品が追求している徹底したオープン性が重要になる。
―― オープン性以外に、Secureworksはどのようなことに力を入れていますか。
トーマス氏 当社は長年、製造業のOT(運用技術)システム向けセキュリティの製品開発に取り組んできた。Secureworksの顧客の約4分の1がOTセキュリティ分野だ。この分野には今後も需要があるので継続して事業を強化したい。昨今、製造業を狙った攻撃が活発化し、さまざまな脅威の検出と対処はこれまで以上に重要になっている。製造業の企業が攻撃を受けてビジネス展開ができなくなったら、社会全体に影響が出る。当社はOTセキュリティ製品の防御力を高め、製造業と一緒に攻撃者に対抗したいと考えている。
―― 製造業の企業はセキュリティの強化を重視する一方、そのための予算確保が簡単ではないということを耳にします。そうした企業に対し、Secureworksの製品をどのように訴求しますか。
トーマス氏 予算の点は、実はそれほど大きな問題ではないと考えている。大切なのは「攻撃に強いセキュリティ体制とは何か」「資産を守るための『対価』をどう捉えているか」といった点だ。そうした切り口で考えることで、当社製品を選んでもらうケースがある。ポイントは、企業にセキュリティの費用対効果(ROI)を具体的に伝えることだ。自社が攻撃の標的にされないと考える企業はほとんどなくなった。企業はリスク軽減について危機感を募らせていると見ている。
後編は、トーマス氏に人工知能(AI)技術の可能性を聞く。
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