ユーザー企業が「XDR」に求めることはさまざまだ。具体的には、どのような期待がXDRに寄せられているのか。ESGの調査を基に解説する。
クラウドサービスやネットワーク、エンドポイント(PCやスマートフォンなど)といったシステム全体のデータを分析した上で、脅威を検知し対処する技術「XDR」(Extended Detection and Response)。ユーザー企業はXDRに対し、どのような効果を求めているのか。米TechTargetの調査部門ESG(Enterprise Strategy Group)のアナリストであるジョン・オルスティック氏が、独自の調査結果を基に、XDRに対するユーザー企業の期待を明らかにする。(編集部)
セキュリティに携わっている人は、XDRの定義を議論するよりも、XDR製品に求められる効果に注目すべきだ。ESGは2022年、セキュリティ専門家やセキュリティ製品の運用担当者、376人に「自分が属する組織にとって最も重要なXDRの効果は何か」と質問した。
調査の回答者のうち36%は、アタックサーフェス(攻撃の対象になり得るシステムやデータ)が広がる中で、XDRが防御力の強化に力を発揮することを挙げた。企業は近年、クラウドサービスやIoT(モノのインターネット)システムの採用に取り組んでいる。そうした中、脅威の“入り口”が拡大し、より包括的なセキュリティ対策のニーズが高まっていると考えられる。
回答者の33%は、XDRがセキュリティアラートの優先順位付けと精度を向上させ、攻撃への対処がしやすくなると考えている。セキュリティ人材不足が深刻化する中、セキュリティ運用の効率化が課題になっていることがうかがえる。
XDRによってセキュリティ運用を一本化できることを挙げた回答者は、29%いた。さまざまなセキュリティツールやユーザーインタフェース(UI)の集中管理を望んでいるという。他の回答は以下の通りだ。
ビジネスの継続には、脅威の検知と対処は不可欠だ。ただし簡単なことではない。そう考えればXDRのように、一つのツールでさまざまな脅威に対抗できる製品のニーズは高いと言える。ユーザー企業にとって重要なのは、高度化している脅威の対抗力であって、そのための製品をどう呼ぶかではない。(談)
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