シリコンバレー銀行が経営破綻したことで、米国では給与支払いトラブルが続出。人事・給与関連ベンダーは対処に追われた。具体的にどう動いたのか。
2023年3月10日(現地時間、以下同じ)に経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB:Silicon Valley Bank)。給与計算システムベンダーのPatriot Softwareは、この影響を受けた企業の一社だ。事態の収拾と預金の保護に向けて、Patriot Softwareはどう対処したのか。
Patriot Softwareは、同社の給与前払いシステムや課税管理などでユーザー企業の資金を預かる際、SVBの口座を利用していた。そのため同社システムで給与管理をしていたユーザー企業は、従業員に給与の支払いができない状況に追い込まれた。
問題の解決を目指す取り組みについて、Patriot Softwareは公式サイトで頻繁に情報を発信した。2023年3月13日午後には「SVBを大手金融機関2社と入れ替えるために動いている」と述べ、「間もなく稼働する見通し」を示した。
SVB経営破綻の影響を受けた人事・給与関連ベンダーは他にもあった。人事ツールベンダーRipplingのCEOであるパーカー・コンラッド氏は、2023年3月10日に短文投稿サイト「Twitter」で、当日に給与を受け取れなかった顧客企業と従業員に謝罪した。この件に関して、同社は米TechTargetの取材に応じなかった。
米規制当局は2023年3月12日に「SVBに預けた預金は全額保護され、納税者が損失を被ることはない」と発表した。ただし株主や補償対象外の債権者は保護されないという。この発表の直後、コンラッド氏は「他にも安堵(あんど)した人がいるのではないか」といった趣旨のツイートをした。
状況は回復しつつある。米国政府が被害を食い止める決断をしたことで、SVBの経営破綻が人事・給与関連ベンダーに対して広範な影響を及ぼすという見方は一掃される可能性がある。「米国政府が中堅銀行を守ってくれることがはっきりした。これで危機は終わったと感じている」と独立系の人事アナリスト、ジョシュ・バーシン氏は話す。
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