シリコンバレー銀行の破綻によって、ある給与計算システムが機能停止に追い込まれた。このトラブルに巻き込まれた給与計算システムベンダーが事態を振り返る。
2023年3月10日(現地時間、以下同じ)にシリコンバレー銀行(SVB:Silicon Valley Bank)が経営破綻したニュースは、米国企業の給与処理担当者に大きな衝撃を与えた。給与処理を代行する会計事務所の担当者は、直ちに顧客企業に事情を説明し、代替の支払い手段を確保する必要に迫られることになった。影響は、会計事務所が利用する人事・給与関連ソフトウェアのベンダーにも及んだ。
会計事務所Accounting Connectionsは、顧客企業の給与や課税情報を処理する際、給与計算システムベンダーPatriot Softwareの給与管理ソフトウェアに頼っていた。Patriot Softwareのソフトウェアで、Accounting Connectionsが必要な仕事をこなすためには、取引銀行の情報が必要だった。その取引銀行であるSVBが経営破綻し、結果として給与支払いに支障を来すことになった。
Patriot SoftwareのCEOマイク・カッペル氏が公式ブログに公開したエントリ(投稿)によると、同社のユーザー企業は全米で5万5000件以上存在する。連邦規制当局がSVBの営業を停止させる前日(2023年3月10日)の時点で、同社はユーザー企業の給与と給与税1億ドル近くをSVBに預けていた。
カッペル氏は1986年にPatriot Softwareを創設。ブログの中で同氏は、創業当時の同社の荒涼とした様子を振り返っている。同社は「暖房もエアコンもない工場の地下」で開業し、「われわれを訪ねて来るのはネズミ、鳥、ハエ、ヘビだけだった」と同氏はつづる。
「米国政府が即座に行動を起こさなければ、壊滅的な波及効果をもたらし、とてつもない数の小規模事業所とその家族が破綻し、金融制度全体に対して取り返しのつかない信頼欠如を発生させる」。カッペル氏はブログエントリでこう警告する。
カッペル氏は多忙を理由に米TechTargetの取材には応じなかったが「分かってもらえると思うが、私の最優先課題は当社の全顧客企業と、その従業員が自分の給与を取り戻し、支払いを受けられるようにすることにある」と説明した。
後編は、Patriot Softwareが事態の収拾と預金の保護に向けてどう対処したのかを解説する。
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