生成AIの回答を「指示の出し方」で洗練させるプロンプトエンジニアリングとはプロンプトエンジニアリングツール7選【前編】

LLM(大規模言語モデル)を活用しようとするエンドユーザーにとって、望ましい出力を生成させるために鍵となるのが「プロンプトエンジニアリング」だ。どのようなものなのか。実施するためのツールとは。

2024年02月12日 05時00分 公開
[Emily FosterTechTarget]

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 テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)を効果的に使うには、適切なプロンプト(情報生成のための質問や指示)を作成する必要がある。目的に沿った回答を得るためには、プロンプトの作成の仕方や扱い方、生成AIの土台となっているML(機械学習)モデルのアルゴリズムや学習データの制約などを理解しなければならない。

 生成AIの基礎となる大規模言語モデル(LLM)などのAIモデルを使用する際、望ましい出力を生成させるためのプロンプトを作成する設計プロセスを、「プロンプトエンジニアリング」と呼ぶ。その目的は、特定の結果を得るためにAIモデルを使うエンドユーザーを支援することだ。プロンプトエンジニアリングには論理的思考力、コーディングスキル、芸術的センスといった要素が必要なことがある。質問を別の表現に言い換えるだけで、AIモデルが全く異なる回答を生成することもある。

プロンプトエンジニアリングを楽にしてくれるツール

 AIモデルの動作を改善し、出力の質を向上させることに、プロンプトエンジニアリングは焦点を当てている。プロンプトのフレーズを何度も変えたりテストを繰り返したりといった作業の負担を減らすために、企業はプロンプトエンジニアリングツールを活用可能だ。プロンプトエンジニアリングツールは試行錯誤を減らし、プロンプトを洗練させ、作成を迅速化する助けになる。以下に挙げるツールは、開発者がプロンプト作成のスキルを磨き、より優れたAIサービスを構築するのに役立つ。

ツール1.Agenta

 AIツールベンダーAgentatechが提供する「Agenta」は、LLMのテストや評価、デプロイ(配備)を支援するツール(LLMOpsツール)だ。目的の結果を出力するLLMを生み出すための操作の一環として、Agentaではさまざまなプロンプトを試すことができる。

 エンドユーザーはAgentaを使うことで、試したいパラメータやプロンプト、フレームワーク(AIモデル作成に必要なプログラム部品やドキュメント群)、ライブラリ(プログラム部品群)について、複数の組み合わせを保存、比較、テストを実施できる。LLMを構築した後は、Agentaを使ってAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)経由で利用可能にすることも可能だ。

 Agentaはオープンソースツールであり、ソースコード共有サービス「GitHub」から無償で入手できる。

ツール2.PromptPerfect

 Jina AIの「PromptPerfect」は、プロンプトの品質を向上させ、LLMから一貫した回答を引き出すことに役立つ。エンドユーザーはPromptPerfectのサーバにプロンプトをアップロードすることで、APIを介して独自のアプリケーションでプロンプトを使用できるようになる。エンドユーザーがPromptPerfectにプロンプトを入力すると、PromptPerfectは設定に応じてプロンプトを修正する。出力するプロンプトの長さや品質、リクエストの送信回数などの設定を調整可能だ。

 以下をはじめとする生成AIツールにおいて、PromptPerfectは利用できる。

  • テキスト生成AI
    • OpenAIの「ChatGPT」
    • Anthropicの「Claude」
    • Cohereの「Command」
    • Stability AIの「StableLM」
  • 画像生成AI
    • OpenAIの「DALL・E」
    • Midjourneyの同社名サービス
    • Stability.AIの「Stable Diffusion」

 PromptPerfectは、プロンプトの最適化などのプロンプト作成タスク1回分を1クレジットとして扱い、クレジットの量に基づいた利用料が発生する。50クレジットまでは無料だ。有償プランには、400クレジットまで使える月額9.99ドルの「Plus」、2000クレジットまで使える月額39.99ドルの「Pro」、1万クレジットまで使える月額99.99ドルの「Pro Max」がある。


 次回は、3つ目と4つ目のツールを紹介する。

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