ビジネスにおける生成AI活用が進む中で、著作権侵害をはじめとする法的リスクが顕在化している。法的リスクを回避することを考慮した画像生成AIツールとは。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)をビジネスで活用する動きが広がりつつある。例えば情報発信や広告画像の作成など、さまざまな業務に生成AIが役立つ可能性がある。その一方で問題となっているのが、生成AIツールによる著作権侵害だ。
2023年12月、日刊紙を発行するThe New York Timesは、モデルのトレーニングに同紙の記事を無断で使用したとして、AIベンダーOpenAIを著作権侵害で提訴した。デジタル素材を提供するGetty Imagesも2023年2月、画像生成AI「Stable Diffusion」の開発元Stability AIに対し、Getty Imagesの1200万点以上の写真をモデルのトレーニングに使ったとして訴訟を起こした。
こうしたリスクを想定して、生成したコンテンツの安全性を保証する生成AIツールが登場している。その一つが、Getty Imagesが提供する画像生成AIツールだ。
2024年1月、Getty Imagesは米国ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2024」で、画像生成AIサービス「Generative AI by iStock」を発表した。同サービスはGPU(グラフィックス処理装置)ベンダーNVIDIAが提供する生成AI開発キット「Picasso」を用いて構築されている。モデルのトレーニングにはGetty Imagesの素材ライブラリと独自データのみを用いており、安全な商用利用を保証する。
Getty Imagesの最高製品責任者を務めるグラント・ファーホール氏は、「当社はモデルのトレーニングに使用するデータセットを全て把握している。Generative AI by iStockで生成したコンテンツには、商標や著作権の侵害などの法的リスクはないと確信を持って言える」と強調する。さらに同社はユーザーに安心感を与えるため、Generative AI by iStockで生成した画像や動画について、1万ドルまでの法的補償を提供するという。
2023年9月にもGetty Imagesは画像生成AIサービス「Generative AI by Getty Images」を発表しているが、こちらは大企業におけるマルチユーザーの利用を想定したものだ。調査会社Constellation Researchでアナリストを務めるリズ・ミラー氏は、Generative AI by iStockについて「安全性とカスタマイズ性を重視する中小企業向けのサービスだ」と説明する。
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