メインフレームの運用コストは企業の収益に大きな影響を与える可能性がある。とはいえ、運用コストの削減は一朝一夕ではうまくいかない。メインフレームの運用コストを最適化するための方法とは。
メインフレームで稼働するアプリケーションは、特定のビジネスと結び付いており、収益を生み出す活動を支えている。IT部門はその収益をメインフレームの運用コストが上回らないように、あるいはその収益とコストが不釣り合いではないようにする必要がある。
メインフレームの運用コストを抑えることは不可欠だが、それと同時にアプリケーションの信頼性を確保しなければならない。アプリケーションの運用にはコストがかかるものの、停止させる方がよっぽど高額になる場合がある。では、アプリケーションの信頼性を確保しながらメインフレームの運用コストを削減するにはどうすればいいのか。最適化戦略を3つ紹介しよう。
メインフレームの運用を効率化する“魔法の公式”は存在しない。メインフレーム運用管理の責任者は、アプリケーションの信頼性を維持し、適切なハードウェアを確保する一方で、不必要なコストを削減する必要がある。両者のバランスを取ることが欠かせない。そのために考慮すべきことは何か。
ハードウェアとソフトウェアを最適な形で連携させることが、コンピューティングリソースの消費と、コストを抑えた運用につながる。これを踏まえると、メインフレームの運用コストを抑えたい企業が最初に重視すべき点は、無駄なリソースがないかどうか、過剰な負荷が掛かっていないかどうかを確認することだ。
例えばIBMのメインフレームには、マシンがCPUをどのように消費しているのか理解するための「CPU活動レポート」を生成する機能がある。このレポートを確認するときはまず、OSがどの程度CPUを消費したかを示す「LPAR/MVS BUSY TIME PERC」の値を見よう。この値は、OSがプロセッサを使用可能な時間のうち、実際に使用していた時間の割合を示すものだ。値が高い場合、CPUの競合が発生している可能性がある。
逆にLPAR/MVS BUSY TIME PERCの値が低い場合は、システム内にボトルネックが存在し、メインフレームがCPUを効率的に使用していない可能性がある。競合の有無は、実行待ちの作業がキュー(処理の待ち行列)にどのように分布しているかを表す「DISTRIBUTION OF IN-READY WORK UNIT QUEUE」も参考にするとよい。
もちろん、全てのパフォーマンスの問題がハードウェアに起因するわけではない。別の要因になり得るのが、品質の悪いソースコードだ。具体的には、アルゴリズムやデータ構造が非効率的である、冗長性がある、エラー処理が不十分といったものが考えられる。だがソースコード内の問題点を洗い出す作業は概して退屈で、手間がかかる。この作業には、メインフレームのCPU使用率やデータ伝送量、エラー発生率といったパフォーマンスデータが役立つ。過去のパフォーマンスデータを参照して、どのアプリケーションのパフォーマンスが時間の経過とともに低下しているのかを確認することで、問題のあるアプリケーションを絞り込める場合がある。
問題のあるアプリケーションを特定できたら、以下をはじめとするアクションと、パフォーマンスの低下の関連性を確認するとよい。
次回は、2つ目と3つ目のポイントを紹介する。
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