メインフレーム管理者を悩ます「膨大なコスト」を少しでも削る方法メインフレームのコスト削減を図る3本柱【前編】

メインフレームの運用コストは企業の収益に大きな影響を与える可能性がある。とはいえ、運用コストの削減は一朝一夕ではうまくいかない。メインフレームの運用コストを最適化するための方法とは。

2024年06月24日 05時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

関連キーワード

メインフレーム | 運用管理


 メインフレームで稼働するアプリケーションは、特定のビジネスと結び付いており、収益を生み出す活動を支えている。IT部門はその収益をメインフレームの運用コストが上回らないように、あるいはその収益とコストが不釣り合いではないようにする必要がある。

 メインフレームの運用コストを抑えることは不可欠だが、それと同時にアプリケーションの信頼性を確保しなければならない。アプリケーションの運用にはコストがかかるものの、停止させる方がよっぽど高額になる場合がある。では、アプリケーションの信頼性を確保しながらメインフレームの運用コストを削減するにはどうすればいいのか。最適化戦略を3つ紹介しよう。

ポイント1.プロセスの効率向上

 メインフレームの運用を効率化する“魔法の公式”は存在しない。メインフレーム運用管理の責任者は、アプリケーションの信頼性を維持し、適切なハードウェアを確保する一方で、不必要なコストを削減する必要がある。両者のバランスを取ることが欠かせない。そのために考慮すべきことは何か。

 ハードウェアとソフトウェアを最適な形で連携させることが、コンピューティングリソースの消費と、コストを抑えた運用につながる。これを踏まえると、メインフレームの運用コストを抑えたい企業が最初に重視すべき点は、無駄なリソースがないかどうか、過剰な負荷が掛かっていないかどうかを確認することだ。

 例えばIBMのメインフレームには、マシンがCPUをどのように消費しているのか理解するための「CPU活動レポート」を生成する機能がある。このレポートを確認するときはまず、OSがどの程度CPUを消費したかを示す「LPAR/MVS BUSY TIME PERC」の値を見よう。この値は、OSがプロセッサを使用可能な時間のうち、実際に使用していた時間の割合を示すものだ。値が高い場合、CPUの競合が発生している可能性がある。

 逆にLPAR/MVS BUSY TIME PERCの値が低い場合は、システム内にボトルネックが存在し、メインフレームがCPUを効率的に使用していない可能性がある。競合の有無は、実行待ちの作業がキュー(処理の待ち行列)にどのように分布しているかを表す「DISTRIBUTION OF IN-READY WORK UNIT QUEUE」も参考にするとよい。

 もちろん、全てのパフォーマンスの問題がハードウェアに起因するわけではない。別の要因になり得るのが、品質の悪いソースコードだ。具体的には、アルゴリズムやデータ構造が非効率的である、冗長性がある、エラー処理が不十分といったものが考えられる。だがソースコード内の問題点を洗い出す作業は概して退屈で、手間がかかる。この作業には、メインフレームのCPU使用率やデータ伝送量、エラー発生率といったパフォーマンスデータが役立つ。過去のパフォーマンスデータを参照して、どのアプリケーションのパフォーマンスが時間の経過とともに低下しているのかを確認することで、問題のあるアプリケーションを絞り込める場合がある。

 問題のあるアプリケーションを特定できたら、以下をはじめとするアクションと、パフォーマンスの低下の関連性を確認するとよい。

  • アプリケーションの移行
  • アプリケーションの更新やアップグレード
  • アプリケーション数の増加
  • アプリケーション内の重要ではない部分の変更
    • 一見重要ではない部分も、パフォーマンスに悪影響を及ぼすことがある。

 次回は、2つ目と3つ目のポイントを紹介する。

TechTarget発 エンジニア虎の巻

米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

市場調査・トレンド SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

ベンダー依存から脱却、柔軟かつ統合的なLinux環境を構築する方法とは?

エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?

製品資料 株式会社野村総合研究所

運用効率化に欠かせないITSMツール、ノンカスタマイズが正解とは限らない?

ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。

製品レビュー 株式会社クレオ

現場でカスタマイズ可能なITシステム、コストと時間をかけずに実現する方法とは

業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。

製品レビュー グーグル合同会社

重要なエンドポイントを守る、Chromeブラウザを企業向けに安全性を強化する方法

世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。

製品資料 グーグル合同会社

Chromeの拡張機能:企業における今求められる管理戦略とは

Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

メインフレーム管理者を悩ます「膨大なコスト」を少しでも削る方法:メインフレームのコスト削減を図る3本柱【前編】 - TechTargetジャパン システム運用管理 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。