「Active Directory」から「Microsoft Entra ID」への移行が進む“3つの理由”ADからEntra IDへのスムーズな移行ガイド【前編】

クラウドサービスの普及が、「Active Directory」から「Microsoft Entra ID」への移行を後押ししている。なぜ移行が必要なのか。Microsoft Entra IDに移行するメリットは何か。

2024年07月16日 05時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

 MicrosoftのID・アクセス管理システム「Active Directory」(AD)は、企業のオンプレミスシステムにおけるファイル管理の中核を担い続けてきた。MicrosoftはADのクラウドサービス版である「Microsoft Entra ID」(旧「Azure Active Directory」)も提供している。Microsoft Entra IDは一部の機能がADとは異なるため、必ずしもADの代替になるわけではないが、Microsoft Entra IDへの移行は検討すべき選択肢になる。なぜMicrosoft Entra IDへの移行が進むのか。3つのポイントを紹介する。

「Microsoft Entra ID」への移行が進む3つの理由

 クラウドサービスが台頭する中で、オンプレミスインフラはクラウドサービスを積極的に採用する企業にとって足かせになる可能性が出てきた。こうした変化に順応するために、MicrosoftはMicrosoft Entra IDを提供している。

 ADからMicrosoft Entra IDに移行するメリットの1つ目は、複数のクラウドサービスがID認証システムとしてMicrosoft Entra IDを利用している点だ。企業がより多くのクラウドサービスを導入するにつれて、それらを個々に管理することは非効率的になる。Microsoft Entra IDは多様なクラウドサービスのアクセスを一元的に管理するシステムとしての役割を果たす。

 Microsoft Entra IDに移行する2つ目のメリットは、オンプレミスシステムで稼働するADよりも拡張しやすいことだ。通常、ADの拡張にはドメインコントローラー(認証サーバ)の追加が必要なため、管理とメンテナンスの負担が増加する。これに対してMicrosoft Entra IDはクラウドサービスであり、ベンダーが機能追加などのアップデートを適用する。

 一般的に、Microsoft Entra IDはADよりも優れた安全性を提供する点が、Microsoft Entra ID に移行する3つ目のメリットだ。ADのセキュリティを強化するには、サーバ用OS「Windows Server」の機能を活用する必要がある。ADはもともとWindows Serverの一部として提供されているためだ。ところがADを利用している企業は、Windows Serverの仕組みを十分に理解できているとは言い難い。一方でMicrosoft Entra IDは、セキュリティを優先事項とした思想に基づいて設計されている。


 次回は、Microsoft Entra IDへの移行計画を立てる際のポイントを解説する。

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