AIエージェントの能力を拡張するMCPは強力だが、MCPサーバの管理は一筋縄ではいかない。デプロイや運用時のよくある課題と、それらを回避するためのベストプラクティスを紹介する。
AI(人工知能)モデルを外部のプログラムやデータソースと連携させるためのプロトコル「Model Context Protocol」(MCP)は、AI技術を活用するための仕組みとして普及しつつある。人の指示を受けてタスクを自律的に実行する「AIエージェント」に、PC内のファイル操作やメール送信といった、外部データソースやプログラムとの連携が必要な操作を実行させる上で、MCPは有用だ。ただしその強力な自動化機能の裏側には、さまざまな課題やセキュリティリスクが存在する。
単一のMCPサーバをテスト目的で動かすことは比較的簡単だが、実用段階で複雑な使い方をしようとすると、以下に示す管理上の課題が生じる。
MCPサーバを利用するには、クライアントアプリケーションとなるAIアシスタントごとに異なる設定を手動で変更する必要がある。そのため、複数のAIアシスタントを扱う際の設定作業は煩雑になりがちだ。
MCPサーバをパッケージ化する標準的な方法がないため、コンテナイメージやスクリプト(簡易プログラム)など、多様な形式の実行ファイルを個別に管理しなければならない。
MCPサーバのログや稼働状況の記録に関する標準仕様が存在しない。そのため、サーバに問題が発生した際の原因特定が難しい場合がある。
MCPサーバが悪用されれば、機密情報を漏えいさせたり、ファイルを不正に削除したりするリスクがある。そうした悪意のある操作を防ぐためには、MCPサーバの権限を個別に管理する必要がある。サーバを稼働させるためのプログラムは、信頼できる提供元から入手すべきだ。
以下のベストプラクティスは、MCPサーバの管理を効率化するのに役立つ。
全てのMCPサーバをコンテナイメージとしてデプロイするなど、一貫したデプロイ方法を採用する。
MCPサーバとして動作する実行ファイルを、コンテナレジストリ(コンテナイメージを保管する場所)のような単一の場所に保管する。これによって資産を追跡しやすくなることに加え、適切なアクセス制御を適用すればセキュリティリスクの軽減にもつながる。
サーバの実行ファイルの信頼元が信頼できることを確認できない限り、その実行ファイルを使用しない。
アクセス権限を必要なもののみに制限する「最小権限の原則」に従って、各MCPサーバにはタスクの実行に最低限必要なコマンドやデータソースへのアクセスのみを許可する。
MCPサーバの設定やデプロイを自動化する「GetMCP」や、デバッグツール「MCP Inspector」などのツールの導入を検討する。MCPサーバの開発やトラブルシューティングなど、用途に応じて使い分けるとよい。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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