「Windows 11未移行」続出? “Windows 10継続”で莫大な追加コストが発生サポート終了後も使い続けるリスクとは(1/2 ページ)

「Windows 10」のサポート終了まで残りわずかとなった。その後も使い続ける場合、コストとセキュリティリスクの増大に直面する可能性がある。Windows 11への移行に向けて取るべき施策とは。

2025年09月25日 08時00分 公開
[Simon QuickeTechTarget]

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 MicrosoftのクライアントOS「Windows 10」は、2025年10月14日をもって公式のサポート終了を迎える。Microsoftはその前に「Windows 11」に移行するよう全てのユーザーに勧告しているが、残りわずかとなった今でも、移行を終えていない企業が少なくない。

 一部の企業は、移行を引き延ばすため、有償サポート「拡張セキュリティ更新プログラム」(ESU)の利用を検討している。しかし、デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)ベンダーNexthinkは、Windows 10の継続利用は移行よりもはるかにコストが高くつくことになると警告した。

“Windows 11未移行”続出で莫大(ばくだい)な追加コストが発生?

 Nexthinkが2025年9月3日(現地時間、以下同じ)に公開した調査レポートによると、追加コストは全体で73億ドル(約1兆95億円)以上になる。この数字はWindows 10の市場シェアと使用率のデータに基づいた推計だ。

 2025年6月にMicrosoftが公表したデータによると、Windowsが搭載されている稼働中のデバイスは14億台以上だ。Nexthinkはこのうち約30%に当たる、4億2000万台が企業もしくは公共部門で使用されていると推定する。

 Webサイトへのアクセス解析サービスを提供するStatCounterによると、2025年7月時点のWindows 10の市場シェアは約43%なので、約1億8100万台のデバイスに相当する。

 Nexthinkの分析では、2025年5月19日から8月1日の間にWindows 10デバイスは33%減少しているので、この減少率が継続すると仮定した場合、サポート終了の10月14日時点で、Windows 10デバイスが約1億2100万台となる見込みだ。

 ESUは2025年9月時点で、デバイス1台当たり1年間61ドル(1年目)で購入できるので、総計で73億2000万ドルとなる。

 以上の結果を踏まえ、NexthinkのDEXストラテジスト、ティム・フラワー氏はWindows 11への移行について次のように語る。「コンプライアンス(法令順守)対策として渋々実施するのではなく、従業員の利便性が向上する機会と前向きに捉えるべきだ。業務が中断するからといって先延ばしにしてはいけない」

 同氏は、次のように企業にアドバイスを送る。「移行は大掛かりな取り組みなので、事前の計画が重要だ。全てのデバイスとアプリケーションの互換性を確認し、移行後に発生する可能性のある問題やトラブルを予測し、円滑に移行できるように対策を講じる。従業員が移行後に利便性の向上を実感できているか、効果を測定することも必要だ」

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セキュリティリスクの増大

 移行支援サービスを提供するチャネルパートナーもこの意見に同意する。Microsoftのパートナー企業Infinigate Cloudで、英国およびアイルランドのGTM&アライアンス担当ゼネラルマネジャーを務めるキエラン・ロビンソン氏は、Windows 10を使い続けるなら深刻なセキュリティリスクが増大すると語る。

 「Windows 11の役立つ新機能が利用できないというだけではない。サポート終了を迎えるとパッチ(修正プログラム)が提供されなくなる。これにより、組織は最新の攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)になる。ESUを利用してはいけないというわけではないが、あくまでもサポート終了前の移行が間に合わない場合だけだ」。同氏はそう語る。

 サポート終了後は、サードパーティーが、Windows 10に対応していないアプリケーションをリリースしたり、既存のソフトウェアに対してWindows 10に対応したアップデートを提供しなくなったりする可能性もある。ロビンソン氏は、Windows 11のシステム要件を満たしていないデバイスの特定、既存のアプリケーションの互換性の確認、移行中のデータ損失を防ぐためのフルバックアップの実行などを含めて、未移行の企業は移行作業に注力すべきだと強調する。

翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(リーフレイン)

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