AIに育てられた人材がやってくる──ITエンジニア育成を変える新常識ITエンジニアのスキル強化を加速

IT人材の不足やスキルギャップの拡大を背景に、企業がAI技術を活用して従業員のスキルを可視化、強化する動きが進んでいる。どのようにAIを使えばいいのか。

2025年10月15日 11時00分 公開
[Damon GarnTechTarget]

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 IT人材の不足や、従業員のスキルギャップを解消する手段として、人工知能(AI)技術の導入が注目されている。どのような場面で、どのようにAIを使えばいいのか。

1.足りないスキルを把握し、必要な研修を特定する

 ITインフラエンジニアが担う業務や必要なスキルは常に変化している。自社の従業員はどのようなスキルを持っているのか、どのような業務を遂行できるのか把握する上で、AI技術を活用するのは1つの手だ。各従業員のパフォーマンス指標、従業員が受講した研修の受講履歴。企業が求めるスキルの要件や業界の標準的なスキル要件といったデータを、AIツールを使って分析し、従業員ごとにどのようなスキルを強化していく必要があるか明確にする。

 上司による評価や自己評価に伴う偏りなど、人間の評価は定性的なものになりがちだ。一方AIにはデータに基づいた客観的な分析が期待できる。

 AIを従業員の分析に利用するに当たっては、従業員ごとのスキルデータを収集することから始めるとよい。次に、業務ごとに必要なスキルと、従業員がすでに保有しているスキルをAIでマッピングする。さらに、スキルギャップを特定、優先順位付けした上で、従業員の開発計画を提示する。

2.従業員の条件に合わせた研修を組み立てる

 スキルギャップを明確にした後は、既存のスキル強化に進む。AIツールを使って、各従業員の状況に合わせた個別の開発計画を作成する。

 その際、以下4つの要素を考慮しておく。

  • クラウドサービス、DevOps(開発と運用の融合)、災害復旧など、従業員はどの分野に関心があるか?
  • 今後の業務で展開予定の業務と必要なスキル
    • マルチクラウドを構築する、新しいWebアプリケーションを導入するといった計画が企業内で進んでいる場合、計画に参画するために必要なスキルは何か?
  • ソフトウェア定義ストレージ(SDS:Software Defined Storage)など、今後発展する技術の内容や発展の方向性
  • 法規制への準拠
    • データ主権や医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)、プライバシー保護、サステナビリティ関連施策など、業界や地域ごとに準拠すべき法規制

 AIツールを使って、従業員の特徴や傾向に合わせた人材開発のプログラムを組むことも重要だ。

  • 対面またはオンラインの座学研修
  • 経験豊富な従業員がメンターとなって指導する研修
  • ベンダーが提供する認定資格の取得

3.業務プロセスを自動化して、研修の時間を創出する

 AIを使ったワークフローの自動化やプロセスの最適化で研修の時間を生み出すのも大切な取り組みだ。AIが担う自動化タスクには、次のようなものがある。

  • パッチ管理
  • システム監視
  • 構成管理(コンフィギュレーションマネジメント)
  • ネットワークトラフィックの分析と最適化
  • ユーザーアカウントのパスワードリセット

4.AIチャットbotを使って業務を効率化する

 AIチャットbotを使って標準的な質問に迅速に回答できる仕組みを作るのも有用な手段だ。

  • 特定のタスクを実行するためのコードスニペット(短いソースコードのまとまり)案を尋ねる。
  • 特定のクラウドサービスプロバイダー環境でのVM(仮想マシン)の展開手順を確認する。
  • MicrosoftのクラウドID・アクセス管理システム「Microsoft Entra ID」で特定の操作手順を確認する。

 従来は、必要な情報にたどり着くまでにWeb検索やマニュアルの確認に長い時間を要する場合もあった。AIチャットbotに直接質問することで、迅速かつ的確な回答を得て作業を効率的に進められるようになった。

 IT部門の業務の中でも、特に時間が掛かる作業の1つが入社したばかりの従業員に対するオンボーディングだ。その企業や部門特有の業務手順や慣行に関する質問をAIチャットbotに学習させることで、オンボーディングを効率化できると共にチーム全体の生産性を向上させることができる。

スキルギャップの解消に役立つAIツールは?

 スキルギャップの特定や解消に役立つAIツールは多岐にわたるが、主な機能は2つに分かれている。1つ目は、トレーニング管理やスキル評価に焦点を当てたもの。2つ目は、IT運用を自動化してスキル開発のためのリソースを確保するためのものだ。

 AIを使ったスキル評価や研修管理プラットフォームには例えば以下がある。

  • iMocha
    • インドのITベンダーiMochaが展開する同名のサービスだ。さまざまな領域のスキル評価テストを用意しており、その中からテストを作成したり、スキル評価を実施したりできる。
  • Codility
    • ITエンジニアのコーディングスキルを客観的に評価するためのオンラインプラットフォームだ。試験を通じて採用者や従業員のコーディングスキルを評価する。
  • IBM SkillsBuild
    • IBMが提供する無料のオンライン学習プラットフォーム。ITスキルやビジネススキルの研修が用意されており、スキルの開発に役立つ。

 また、AIを活用したIT運用自動化プラットフォームを提供するベンダーには以下がある。

  • Datadog
    1. インシデントの予兆検知と解決を含むIT運用の自動化サービスを提供する。
  • Splunk
    1. インシデント検知・管理、可視化、サービスレベル監視を実現するSplunk IT Service Intelligenceがある。

 Nvidiaは、AIの基盤技術と運用に関するオンライン研修コース「AI Infrastructure and Operations Fundamentals」を提供している。同研修の受講を通じて、AIをIT運用プロセスに統合するための実践的な知見を深めることが可能だ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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