ITエンジニアのスキル強化を加速
AIに育てられた人材がやってくる──ITエンジニア育成を変える新常識
IT人材の不足やスキルギャップの拡大を背景に、企業がAI技術を活用して従業員のスキルを可視化、強化する動きが進んでいる。どのようにAIを使えばいいのか。
IT人材の不足や、従業員のスキルギャップを解消する手段として、人工知能(AI)技術の導入が注目されている。どのような場面で、どのようにAIを使えばいいのか。
1.足りないスキルを把握し、必要な研修を特定する
併せて読みたいお薦め記事
「質問する」以外でAIを活用し、AIと共存するには
ITインフラエンジニアが担う業務や必要なスキルは常に変化している。自社の従業員はどのようなスキルを持っているのか、どのような業務を遂行できるのか把握する上で、AI技術を活用するのは1つの手だ。各従業員のパフォーマンス指標、従業員が受講した研修の受講履歴。企業が求めるスキルの要件や業界の標準的なスキル要件といったデータを、AIツールを使って分析し、従業員ごとにどのようなスキルを強化していく必要があるか明確にする。
上司による評価や自己評価に伴う偏りなど、人間の評価は定性的なものになりがちだ。一方AIにはデータに基づいた客観的な分析が期待できる。
AIを従業員の分析に利用するに当たっては、従業員ごとのスキルデータを収集することから始めるとよい。次に、業務ごとに必要なスキルと、従業員がすでに保有しているスキルをAIでマッピングする。さらに、スキルギャップを特定、優先順位付けした上で、従業員の開発計画を提示する。
2.従業員の条件に合わせた研修を組み立てる
スキルギャップを明確にした後は、既存のスキル強化に進む。AIツールを使って、各従業員の状況に合わせた個別の開発計画を作成する。
その際、以下4つの要素を考慮しておく。
- クラウドサービス、DevOps(開発と運用の融合)、災害復旧など、従業員はどの分野に関心があるか?
- 今後の業務で展開予定の業務と必要なスキル
- マルチクラウドを構築する、新しいWebアプリケーションを導入するといった計画が企業内で進んでいる場合、計画に参画するために必要なスキルは何か?
- ソフトウェア定義ストレージ(SDS:Software Defined Storage)など、今後発展する技術の内容や発展の方向性
- 法規制への準拠
- データ主権や医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)、プライバシー保護、サステナビリティ関連施策など、業界や地域ごとに準拠すべき法規制
AIツールを使って、従業員の特徴や傾向に合わせた人材開発のプログラムを組むことも重要だ。
- 対面またはオンラインの座学研修
- 経験豊富な従業員がメンターとなって指導する研修
- ベンダーが提供する認定資格の取得
3.業務プロセスを自動化して、研修の時間を創出する
AIを使ったワークフローの自動化やプロセスの最適化で研修の時間を生み出すのも大切な取り組みだ。AIが担う自動化タスクには、次のようなものがある。
- パッチ管理
- システム監視
- 構成管理(コンフィギュレーションマネジメント)
- ネットワークトラフィックの分析と最適化
- ユーザーアカウントのパスワードリセット
4.AIチャットbotを使って業務を効率化する
AIチャットbotを使って標準的な質問に迅速に回答できる仕組みを作るのも有用な手段だ。
- 特定のタスクを実行するためのコードスニペット(短いソースコードのまとまり)案を尋ねる。
- 特定のクラウドサービスプロバイダー環境でのVM(仮想マシン)の展開手順を確認する。
- MicrosoftのクラウドID・アクセス管理システム「Microsoft Entra ID」で特定の操作手順を確認する。
従来は、必要な情報にたどり着くまでにWeb検索やマニュアルの確認に長い時間を要する場合もあった。AIチャットbotに直接質問することで、迅速かつ的確な回答を得て作業を効率的に進められるようになった。
IT部門の業務の中でも、特に時間が掛かる作業の1つが入社したばかりの従業員に対するオンボーディングだ。その企業や部門特有の業務手順や慣行に関する質問をAIチャットbotに学習させることで、オンボーディングを効率化できると共にチーム全体の生産性を向上させることができる。
スキルギャップの解消に役立つAIツールは?
スキルギャップの特定や解消に役立つAIツールは多岐にわたるが、主な機能は2つに分かれている。1つ目は、トレーニング管理やスキル評価に焦点を当てたもの。2つ目は、IT運用を自動化してスキル開発のためのリソースを確保するためのものだ。
AIを使ったスキル評価や研修管理プラットフォームには例えば以下がある。
- iMocha
- インドのITベンダーiMochaが展開する同名のサービスだ。さまざまな領域のスキル評価テストを用意しており、その中からテストを作成したり、スキル評価を実施したりできる。
- Codility
- ITエンジニアのコーディングスキルを客観的に評価するためのオンラインプラットフォームだ。試験を通じて採用者や従業員のコーディングスキルを評価する。
- IBM SkillsBuild
- IBMが提供する無料のオンライン学習プラットフォーム。ITスキルやビジネススキルの研修が用意されており、スキルの開発に役立つ。
また、AIを活用したIT運用自動化プラットフォームを提供するベンダーには以下がある。
- Datadog
- インシデントの予兆検知と解決を含むIT運用の自動化サービスを提供する。
- Splunk
- インシデント検知・管理、可視化、サービスレベル監視を実現するSplunk IT Service Intelligenceがある。
Nvidiaは、AIの基盤技術と運用に関するオンライン研修コース「AI Infrastructure and Operations Fundamentals」を提供している。同研修の受講を通じて、AIをIT運用プロセスに統合するための実践的な知見を深めることが可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget グローバルインサイト
米国Informa TechTargetが発信する記事を翻訳し、国内向けに分かりやすく紹介します。最新の海外動向や先進事例を取り上げ、グローバルなITトレンドを把握できる連載です。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] AIランサムウェアに勝つ 自律型エンドポイント管理導入で確認すべき条件4つ -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] 研究分野でAI活用が進まない? 真の成果につなげるデータ管理の在り方とは -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
3
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
4
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
5
デンソークリエイト、Excelからの移行も簡単に行えるプロジェクト管理ツールを発表
-
6
Claude Opus 5.5、GPT-6 Sol/Luna登場 情シスが迫られるモデル使い分け
-
7
「クラウドDR」4大基礎用語 クラウドバックアップやDRaaSとの違いは?
-
8
「Apple Watch」、読者の95%は「仕事で使える」、5%は何に不満?
-
9
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
10
攻撃で“大慌て”になる企業に欠けていた「サイバーレジリエンス」の視点
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
3
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
7
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
8
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
9
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
10
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー