「AI利用はこっそり」 20代の6割が隠す実態、非利用者の8割は学ぶ意欲なし若手ほど「隠す」「失敗する」傾向に

ビジネスパーソンは生成AIの業務利用を周囲に隠しながら、その扱いに苦慮している――。ある調査から、生成AI利用者の半数以上が利用を隠した経験があり、約8割が生成AIによるトラブルを経験したことが分かった。

2025年10月24日 11時30分 公開
[TechTargetジャパン]

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 人材マッチングサービスを運営するITプロパートナーズは2025年10月22日、全国の20〜60代のビジネスパーソン861人を対象として、同年9月に実施した「生成AI活用に関する実態調査」の結果を公開した。調査によると、生成AI(AI:人工知能)を「業務で活用している」と答えた回答者は全体の44.9%、「業務で活用していない」と答えた回答者は55.1%で、職種や業種を問わず生成AIの業務利用の普及は道半ばという結果となった。

なぜ隠す? 業務での生成AI活用

 生成AIを活用していると答えた回答者に対して、業務での生成AI利用を上司や同僚に隠したことがあるかどうかを尋ねたところ、「隠したことはない」と答えた回答者は43.7%だった。「隠したことがある」と答えた回答者は、20代の回答者で63.1%。特に「よく隠している」と20代の13.6%が回答しており、社会人になるころにはAIが普及していた「AIネイティブ世代」であっても、職場での生成AI利用を明かしにくい実態が浮き彫りになった。30〜40代でも過半数が「隠したことがある」と回答した。この結果についてITプロパートナーズは、「世代を問わず、生成AIは“こっそり使う”風潮が存在している」と分析している。

 調査では、生成AIの業務利用で生じたトラブルについても尋ねた。その結果、生成AIを活用していると答えた回答者の78.6%(304人)が、何らかの形で生成AIの利用に起因するミスや叱責(しっせき)を経験していることも明らかになった。具体的なトラブルには、「AIに頼りすぎて思考や提案の深みが不足していると注意された」(37.4%)、「出典を明示せずにAIツールが生成した文章を流用して上司や顧客から注意された」(15.4%)、「AIツールが生成した文章や資料の完成度が低く、再作成や納期の遅延を招いた」といった回答が挙がった。

画像 業務での生成AI活用でミスや叱責につながった経験(提供:ITプロパートナーズ)《クリックで拡大》

 トラブルを経験した割合を年代別に見たところ、20代が86.4%と最も高く、30代の81.0%、40代の79.3%、60代の78.9%と続いた。一方で50代は65.8%と、比較的低い水準にとどまっていた。

画像 生成AI活用によるトラブル経験、年代別の割合(提供:ITプロパートナーズ)《クリックで拡大》

 一方、業務で生成AIを利用していないと答えた474人に、生成AIに対する学習意欲を尋ねた結果、「全く興味がなく、学ぶつもりもない」が48.3%、「あまり興味がなく、学びたいとも思っていない」が29.5%で、合わせて77.8%が生成AIの活用に消極的な姿勢を示した。

画像 生成AIをこれから学びたいか(提供:ITプロパートナーズ)《クリックで拡大》

 この結果についてITプロパートナーズは、「『生成AIを業務に活用する層』と『関心のない層』」の差は顕著に広がりつつあり、職場や世代間での格差は広がる可能性がある」と指摘している。さらに、若手だけではなく中堅層や管理職層も生成AI活用に伴う新しい課題に直面していることにも言及。「今後は、部下のAI活用をどう導き、評価するかといった“AI時代のマネジメント”が求められる」とコメントしている。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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