AI技術の利用が広がっているが、その効果をいかに測定して進展度や課題を把握するかが重要だ。日立製作所とGen-AXが共同開発したモデル「MA-ATRIX」を使えば、何ができるのか。
日立製作所とGen-AX(ジェナックス)は2025年10月22日、両社が共同開発した人工知能(AI)活用の成熟度モデル「MA-ATRIX」(Maturity Assessment & AI TRansformation IndeX;Generative AI Adaptation Roadmap)の無償提供を開始した。企業の生成AI活用状況を7つの評価軸で診断し、AI活用の実効性を客観的に把握できるという。MA-ATRIXはどのようなものなのか、詳しく見てみよう。
MA-ATRIXは、以下7つの評価軸で構成されている。
これに加え、以下7段階の成熟度レベルを設定している。
MA-ATRIXは評価軸ごとに成熟度レベルを判定する基準を「ゴール」として定義し、その達成に向けた取り組みや行動を「プラクティス」として示している。これによって、企業はAI活用状況を可視化するとともに課題を洗い出し、次に進むべきアクションを明確にできると日立製作所は説明している。
日立製作所によると、MA-ATRIXは同社が手掛けてきた約1000件の生成AI活用ユースケースと、生成AIを活用した「SaaS」(Software as a Service)やコンサルティングサービスで培ったGen-AXのノウハウに基づいて開発された。従来のモデルがAI全般の導入度評価に重点を置いていたのに対し、生成AIによる業務変革の進展度を可視化する点が特徴だという。
生成AI活用について、早稲田大学理工学術院基幹理工学部教授の鷲崎弘宜氏は、「客観的に生成AI活用の進展度合いを評価し、関係者間による共通理解の上で段階的に進めることが不可欠だ」と指摘する。同氏によると、MA-ATRIXは生成AIによる計画的な業務変革とガバナンス強化を可能にし、業務変革の実効性向上に寄与する可能性がある。
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