商用モビリティに革命 OxaがNVIDIAと共に描く“2兆ドル市場”の未来自動運転の開発をリード

自動運転用ソフトウェア企業Oxaは、NVIDIAとの事業提携を通じて、商用車の自動運転化とAI活用を加速させている。OxaがNVIDIAと手を組んでいる理由は。

2025年11月06日 17時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 小売業向けの配送車両やシャトルバスといった“商用モビリティ”で利用する自動運転ソフトウェアのベンダーOxa Autonomy(以下、Oxa)は、NVIDIAとの提携拡大を進めている。NVIDIAをパートナーに選んだ理由は何か。

NVIDIAの何に魅力を感じたのか

 Oxaが2025年9月に公開したプレスリリースによると、同社は以下の利用を拡大して自動運転用ソフトウェアの高度化を目指す。

  • NVIDIA Cosmos World Foundation Models
    • フィジカルAI(自動運転車やロボットなどのデバイスにAIを組み合わせて、自律的に動作できるようにするための技術)の開発を促進するために構築された世界基盤モデルプラットフォーム「NVIDIA Cosmos」を構成する世界基盤モデル。テキストや画像など複数の入力情報から写真のようにリアルな仮想世界の映像を生成できる。
      • 世界基盤モデルとは、さまざまな物理AIやロボットに応用できる、大規模で汎用(はんよう)的な世界モデル(物理世界での現象をシミュレーションするAIモデル)だ。
  • Nvidia Drive AGX Thor
    • 次世代の自動車向けAIスーパーコンピュータで、自動運転、車内エンターテインメント、デジタルコックピット、安全機能などを1つのプラットフォームで処理することを目的とした技術。

 Oxaはこの取り組みを、「産業モビリティ自動化(Industrial Mobility Automation、以下IMA)の未来を構築する計画の一環」と位置付けている。IMAとは、自動運転技術を活用して物流や製造業が抱える課題を解決するという考え方だ。同社はこの分野に2兆ドル規模の市場機会があると見ており、人の移動、設備の監視、工場の部品搬送など反復的な業務を自動化することで、生産性向上やコスト削減、イノベーションの推進につながると主張している。

 Oxaは、IMAの取り組みが英国の「先進製造業セクター計画」(Advanced Manufacturing Sector Plan)」の重点項目とも合致していると指摘する。接続性や自律移動の技術進展、研究開発の推進、英国の先進技術拠点としての地位強化に貢献するとしている。

 2025年3月、Oxaは、NVIDIA Cosmos World Foundation Modelsやその予測モデル「Cosmos Predicts Models」を、自社の開発ツール「Oxa Sensor Expansion」や「Oxa Foundry」に統合すると発表した。これにより、仮想世界での運転シナリオの生成や検証を迅速に進めることができるようになり、実世界での実証試験と比べて時間とコストの大幅な削減が可能になるという。

 Oxaの取り組みでは、米国において技術の活用を進めていることも注目に値する。2024年には、Oxaが英国の自動運転企業として初めて自社ソフトウェアを米国へ輸出し、複数の米州で商用展開を進めている。

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