アプリケーション開発を巡って、さまざまなセキュリティの「落とし穴」がある。セキュリティを強化し、安全なアプリケーションの開発につなげるにはどうすればいいのか。
セキュリティインシデントによるビジネス被害を防ぐために重要な取り組みの一つが、アプリケーション開発の工程においてしっかりしたセキュリティ対策を講じることだ。そのためにはどうすればいいのか。12ポイントに沿って分かりやすく解説する。
アプリケーションを開発する際には、そのアプリケーションの定義、機能、利用範囲、アクセスするユーザーなどを明確にすることが重要だ。このステップでは、アプリケーションを使用する全てのリソース(システム、ネットワーク、クラウドサービスなど)と、その依存関係を特定する。そのために、ソフトウェア部品表「SBOM」(Software Bill of Materials)を作成することが有効だ。
IT部門やビジネス部門の上級管理職にアプリケーションをレビューしてもらい、承認を得るとともに、アプリケーション開発に必要な予算を確保することが重要だ。
計画、設計、コーディング、テスト、保守を含むソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)で、セキュリティ対策を工程の早期(左側)へ移す「シフトレフト」のアプローチを取り入れる。早い段階からセキュリティを重視することによって、アプリケーションの脆弱(ぜいじゃく)性を軽減し、高品質なアプリケーションを迅速に提供することにつなげられる。
アプリケーションのセキュリティは、多様な脅威に対処し、攻撃リスクを軽減するために設計されるべきだ。さまざまなセキュリティツールを組み合わせた「多層防御」を実装すれば、攻撃者がアプリケーションを侵害するために複数の壁を突破しなければならなくなり、セキュリティが向上する。
リスク分析によって、アプリケーションに影響を与えうるセキュリティリスクや脆弱性を特定する。分析はコーディングの前か本番環境への導入前に実施する。これによって潜在的なセキュリティイベントとその最悪の結末、単一障害点(SPOF)などを特定できる。定期的なリスク分析をスケジュールし、セキュリティ対策がリスクや脅威に対処し続けられるようにすることも重要だ。
アプリケーションの開発とリリース後の管理に、以下のセキュリティコントロールの施策を取り入れる。セキュリティを定期的に見直し、安全性の向上を図ろう。
新しいアプリケーションをコーディングする際や、既存アプリケーションを変更する方法を特定する際には、国際的に広く認知されたセキュリティ基準やガイドラインを使用してセキュリティを高める。例えば、米国立標準技術研究所(NIST)の「NIST Special Publication 800-53」や、ソフトウェアのセキュリティ向上を活動目的とする非営利組織Open Worldwide Application Security Project(OWASP)の「OWASP Web Security Testing Guide」がある。
API(アプリケーションプログラミングインターフェース)はアプリケーション開発に欠かせない要素で、攻撃者から狙われやすい。APIはアプリケーションの重要な情報(プログラミングロジックやセキュリティ情報など)を含むため、APIのセキュリティを高めることが重要だ。
データのログを不正アクセスを検出、防御するために、モニタリング(監視)が必要になる。強力なモニタリングは、疑わしい通信や潜在的なリスクを特定し、攻撃を防止することに有効だ。
インシデント対処計画の策定は、疑わしい通信やその他のセキュリティイベントに迅速に立ち向かうために重要な取り組みだ。インシデント対処計画では、さまざまな手口の攻撃を想定し、インシデント対処チームの役割と責任を明確にする。演習も実施し、インシデント対処計画の改善点を洗い出す。
こちらには、ファイアウォールのルールの最新化、IDS/IPSのソフトウェアの更新、セキュリティソフトウェアの定期的なパッチ適用が含まれる。
AI(人工知能)はエンタープライズセキュリティ、特にアプリケーションセキュリティの重要な要素となっている。セキュリティ製品の中にはAIを組み込んで、脅威の検出や対処に活用するものがある。
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