情シス部門の業務自動化を進めるに当たっては、部内や上長への説明がひと手間だ。成果が見えやすく、自動化を進めやすいプロセス自動化例を6つ紹介する。
日々の業務に忙殺される中、「定型業務は自動化したい」と考えるのは自然な流れだ。ただし、考えを行動に移すに当たっては、どの業務を自動化するのか、どのように進めるのか、その結果どのような成果を見込めるのかを部門や上長に説明する必要がある。本稿は、専門家の声も交えながら、着手しやすい自動化例と成果を6つ紹介する。
ユーザーからの問い合わせ対応、サポートチケットの作成と管理、変更管理のサポートなど、ユーザーサポートにはさまざまな業務が含まれている。自動化を実現できれば、反復的な作業の負担軽減や、問題解決までの時間の短縮を期待できる。
ユーザーサポートを自動化する場合、ITサービス管理(ITSM)ツールやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)ソフトウェア、ローコード/ノーコードプラットフォームを利用する。
一方、人工知能(AI)技術を使って、ユーザー自身が問題の解決を実施できるようにする「セルフサービス機能」を整備することも選択肢の1つだ。ノートPCの故障やパスワードリセット、ネットワークの接続確認といった「Tier1サポート」の多くを、自動化で対処できる可能性がある。
インシデント管理ツールベンダーPagerDutyの最高情報責任者(CIO)、エリック・ジョンソン氏は、次のように述べる。「以前は『チケットを登録すれば担当者が対応する』という運用だった。しかし、人の介入がほとんど不要なケースが増えている」
同氏によると、従来のセルフサービス機能では、問い合わせの25〜50%が情シスへ到達する前に解決されていた。一方、生成AIを組み込んだ技術を使うことで、解決できるケースの割合は75〜80%まで向上しているという。
入力フォームや各種資料からデータを抽出し、テンプレートや業務システムへ流し込みドキュメントを作成する作業も自動化が可能だ。
調査会社Forrester Researchのバイスプレジデント兼主席アナリスト、クレイグ・ルクレール氏は次のように述べる。「実用的な活用分野を探すなら、ドキュメント自動化に注目すべきだ」
例えば財務、会計では、ドキュメント処理に機械学習を用いる場合がある。必要なデータを該当する項目から抽出し、そのデータをRPAのbotへ渡す。botは、そのデータをERPへ登録する。IT分野では、技術文書やレポート作成などにも利用される。
ドキュメント自動化自体は以前から存在しているが、生成AIで機能は強化されている。
ルクレール氏は、次のように説明する。「生成AIの支援によって、より多くのデータを取得できるようになり、抽出できる文書の種類も増えつつある」
FinTech(金融とITの融合)ベンダーFiservは、RPAツールベンダーUiPathのソフトウェアとAIを組み合わせて活用している。具体的には、ベンダー契約からサービスレベル契約(SLA)と関連データを抽出する作業だ。従来、この作業では人が契約書の数十ページを読み込み、必要なデータを目視で探していた。
FiservのAI自動化担当ディレクター、シャーブス・シャーヤ氏によると、同社はAIエージェントを試験的に導入している。AIエージェントのタスクは、契約書からパフォーマンス指標や違反時の支払額などを抽出することだ。そのデータはRPA botに引き渡され、SLA検証プロセスが続行される。この結果、手動によるデータ抽出の工程を減らすことができたという。
新入社員のアカウント作成やデバイス準備をはじめとしたオンボーディングも自動化できる余地がある。RPAやDPA(Digital Process Automation)のほか、IT資産管理システムやID管理、アクセス管理ソフトウェアの自動化機能を利用する。
南イリノイ大学(Southern Illinois University)の医学部では、医療従事者の資格確認やポジションの予算確保、昇進管理などのバックオフィス業務が存在する。従来、これらの業務は紙ベースで実施されており、紙データをPDF化しオンラインで記入後、印刷して郵送する作業が存在した。届いた書類は必要な承認者のサインを得るため、複数の部署を巡回して承認を得る。この作業には数週間、場合によっては数カ月かかることもあった。
インシデント対応の自動化も重要な取り組みだ。PagerDutyは、自社のインシデント管理製品であるSIEM(Security Information and Event Management)を活用している。SIEMが不審な振る舞いを検知すると、状況を可視化、調査を実施し問題を特定、担当者の招集、事後分析までを迅速に実行する。これにより、「平均応答時間」や「平均解決時間」といった運用指標の数値が改善する。
情シスが実施した問い合わせ対応を評価するために、ユーザー満足度調査を実施する場合がある。この調査プロセスを自動化すれば、時間を節約できるだけでなく、調査の一貫性も高まる。
南イリノイ大学医学部でも、ユーザー満足度調査を自動化している。ユーザー満足度やROI(投資対効果)を定期的に測定でき、業務改善の機会にもなる。
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