「VMware vSphere」から「VCF 9.0」に無停止で移行する2つの安全ルートとは?大規模移行を無事故で終える

「VMware vSphere」から「VCF」への移行は、ダウンタイムやデータ消失という致命的なリスクを伴う。老朽化したインフラを刷新しつつ、業務を止めずに移行する2つのアプローチを紹介する。

2026年04月13日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 企業のITインフラ老朽化やクラウド化が進む中、プライベートクラウド「VMware Cloud Foundation」(VCF)バージョン9.0(以下、VCF 9.0)への移行プロセスが本格的な検討課題として浮上している。しかし、ハイパーバイザー「VMware vSphere」から新システムへの移行は容易ではない。

 ミッションクリティカルな業務システムでは、わずかなダウンタイムやデータ消失も許されない。アプリケーションにハードコーディングされたIPアドレスの変更など、ネットワーク設定の変更は業務停止のリスクを伴うため、管理者の大きな負担になっている。システムの拡張性確保や、老朽化したハードウェアのリプレースに合わせて、効率的かつ安全に移行を完了させる仕組みが必要だ。

 これらの課題に対し、インフラ投資を無駄にせず、稼働中の業務に影響を与えずにモダナイゼーションを進めるアプローチが存在する。自社に最適な移行ルートはどのように描くべきか。ダウンタイムを抑える具体的な移行プロセスと、成功の鍵を握るツールを解説する。

業務停止が許されないシステムをどう移行する?

 イベント「VMware Explore 2025」において、前述の移行課題を解決する2つの具体的な戦略が提示された。既存インフラの「インポート」と、「『VMware HCX』を活用した大規模な移行」だ。企業は、自社システムの現状やハードウェアの更新時期に合わせて、最適な手段を選択あるいは併用できる。

1.VCF Installerによる既存インフラのインポート

 ハードウェアを継続利用する場合に有効なのが、VCF 9.0で導入された「VMware Cloud Foundation Installer」(VCF Installer)を用いた既存インフラの取り込みだ。従来はコンポーネントごとに分かれていた導入プロセスが、単一のウィザードに集約された。

 管理者はウィザードの案内に従って、「VMware vCenter」「VMware NSX」「VMware Cloud Foundation Operations」(VCF Operations)などの管理コンポーネントを活用して、新しいVCFインスタンスの管理ドメインに変換できる。この手法の利点は、配下の物理サーバや稼働中の仮想マシン(VM)には変更を加えないことだ。ハードウェアのリプレースやネットワークの再設計を伴わず、迅速かつ手軽にVCFの管理下に移行できる。

 インターネットから隔離された高セキュアなシステム構成(エアギャップ)であっても、必要なソフトウェア群をオフラインで安全に取り込み、移行作業を進めることが可能だ。これによって、別拠点のデータセンターへの展開といった後続作業を自動化し、反復的に実行できる。取り込み時に全てのコンポーネントを一度に最新版にする必要はなく、自社の計画に合わせて段階的にアップデートできるという自由度も備えている。

2.VMware HCXと計画ツールを活用した波状マイグレーション

 老朽化したデータセンターから新しいデータセンターにインフラごと刷新するケースでは、専用移行ツールであるVMware HCXを利用したアプローチが適する。

 大規模な移行を無事故で終える鍵は、綿密な事前計画にある。Explore 2025のセッションでは、VCF Operationsに加わった新たなマイグレーション計画ツールが紹介された。従来は管理者が手作業で確認していたアプリケーション間の依存関係を、ネットワークの通信状態から自動的に可視化できる。管理者はこの関係性に基づき、システム全体を一度に動かすのではなく、ネットワークやアプリケーション単位で複数の「移行ウエーブ(波)」に分けて安全な計画を立てることが可能だ。

 データ転送と切り替えはVMware HCXが制御する。VMware HCXは既存システムとVCFの間に専用の通信経路を作り、IPアドレスやMACアドレスを変更せずにVMを移動させる仕組みを提供する。

 VMware HCXには、要件に応じた複数の移行方式が用意されている。最大1000台のVMを一括で移行する「バルク移行」では、切り替え時の再起動に合わせて、仮想ハードウェアのバージョンアップや「VMware Tools」の更新といった処理を自動で実行できる。

 「Replication Assisted vMotion」(RAV)を利用すれば、事前にデータをバックグラウンドで複製しておき、指定したタイミングで無停止のまま切り替えることが可能だ。万が一、大容量データ(単一の仮想ディスク当たり最大62TBまで処理可能)の転送中にネットワーク障害が発生しても、チェックポイント機能によって障害発生地点から安全に再開できるため、長時間の作業をやり直す手間を省ける。

今後の展望

 企業にとってクラウド移行は目的ではなく、ビジネスの変化に迅速に適合できる自由度の高いインフラを手に入れるための手段だ。これらの移行手順は、業務への影響を最小限に抑えながら、自動化や拡張性といった新しいインフラの恩恵を短期間で引き出すことを可能にする。自社のIT資産のライフサイクルを見極め、適切なツールを組み合わせることで、強固なプライベートクラウドを構築できるだろう。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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