第一生命、生成AIとクラウド移行で帳票処理を刷新 選んだサービスは?運用コストを約50%削減

第一生命保険は、生成AIとクラウドを活用した新たなAI-OCRシステムの運用を開始した。その結果、本人確認書類の文字認識精度の向上や運用コスト削減につながった。選んだサービスは何か。

2026年05月02日 05時00分 公開
[CaseHub.NewsTechTargetジャパン]

 金融業界では、本人確認書類や申請書類など、大量の帳票処理をどう効率化するかが長年の課題となっている。一方で、OCR(光学文字認識)の精度不足による誤認識や、人手確認の負荷が完全には解消されず、「自動化したはずなのに運用負荷が残る」というケースも少なくない。

 こうした中、第一生命保険は、生成AI(人工知能)技術を活用した新たなAI-OCRシステムをクラウドに構築し、2026年4月24日から稼働を開始した。

 同社は2020年から保険金や給付金の支払い手続きにおいてAI-OCRによる自動化を進めてきた一方、従来使用してきたオンプレミス基盤のハードウェアの保守期限(EOS)を迎えつつあった。そのタイミングで、システムのクラウド移行と新たなAI-OCRシステムの構築を進めた。

レガシー移行で選んだクラウドは?

 システムの設計・開発を担ったのは、AIソリューション事業を手掛けるヘッドウォータース。新システムは、Microsoft Azureの「Azure OpenAI」および「Azure Document Intelligence」を中核とするクラウド基盤へ移行した。ヘッドウォータースは第一ライフグループのIT中核会社である第一ライフテクノクロスと連携し、既存業務との連続性に配慮しながら、実運用に適したシステム構成とワークフローを設計した。

 新AI-OCRシステムの利用により、免許証など本人確認書類の文字認識精度が従来比で約20%向上した他、クラウド化によって運用コストは約50%削減したという。

 設計上の大きな特徴は、生成AIを活用した自動処理と人による確認を組み合わせた「Human in the Loop」のインタフェースを採用した点にある。これにより、帳票認識から結果反映までをEnd-to-Endで連携させ、膨大な処理量と高速処理に耐えうる実運用のワークフローを実現した。また、クラウドの特性を生かし、処理量に応じた柔軟な運用が可能になったこともコスト削減に寄与している。

 今回のプロジェクトは、最新技術の導入にとどまらず、1年という短期間で業務プロセス全体へつなぎ込み、本番リリースまで完遂させた点が評価されている。第一生命は今後、この新基盤を通じて業務品質のさらなる向上と、安定的かつ持続可能なサービス提供を推進する。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「第一生命、生成AIで新OCRシステム構築 認識精度2割向上、運用コスト半減」(2026年4月30日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。

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