AI前提で基盤を選ぶなら? Nutanixへ移行するメリット5選VMwareからの移行需要が追い風に

VMware環境からの移行で悩む企業にとって、選択肢の1つとなるのがNutanixだ。では、Nutanixへ移行することで得られるメリットは何か。同社のCEOが、メリットを5つ紹介する。

2026年05月19日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 「AIエージェントを社内で使いたいが、暴走やコスト増が怖い」「VMwareの移行先を探しているが、次は“AI前提”で基盤を選びたい」――。こうした悩みを抱える情報システム部門(以下、情シス)は少なくないだろう。

 こうした中、Nutanixは、仮想マシン(VM)、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」「AIエージェント」を単一基盤で扱う構想を打ち出した。同社CEOのラジブ・ラマスワミ氏は、「あらゆるアプリケーションとデータのためのプラットフォームを目指す」と説明する。

 では、企業がNutanixへ移行する具体的なメリットはどこにあるのか。AI時代を見据えた主なポイントを5つに整理して解説する。

「VM」「Kubernetes」「AIエージェント」を1基盤へ

 Nutanixが目指しているのは、従来の仮想マシンから、Kubernetesベースのコンテナ、さらに今後普及が進むAIエージェントまでを、単一基盤上で統合的に扱える環境だ。背景には、企業ITで新たな“サイロ化”が進み始めている現実がある。

 企業では近年、VM基盤、Kubernetes基盤、AI基盤が個別に導入されるケースが増えているとラマスワミ氏は指摘する。しかし、基盤が分断されると、運用、セキュリティ、コスト管理が複雑化し、情シスの負担は増大しやすい。

 ラマスワミ氏はこうした状況を避けるため、「あらゆるアプリケーションとデータ」を単一基盤で管理する必要があると説明する。Nutanixは、「Nutanix Kubernetes Platform」のベアメタル対応や、AIエージェント向け新基盤を通じて、企業に“AI時代の統合インフラ”を提供しようとしている。

AIエージェントの「ガバナンス」と「リスク管理」を徹底できる

 特にNutanixが重視しているのが、「AIエージェント」の管理だ。

 企業のAI活用は、単純な文書検索や要約から、複数ステップを自律実行するAIエージェントへ進みつつある。一方で、オープンソースのAIエージェントツールを“無防備”に導入することにはリスクがあるという。

 そこでNutanixは、「AIゲートウェイ」をインフラスタックへ統合した。これにより、情シスやCIOは、「誰が」「どのAIモデルへ」「どの程度アクセスできるか」を細かく制御できる。

 例えば、「人事部門は特定のAIエージェントのみ利用可能」「利用トークン数を制限する」といったポリシーを設定可能だ 。これは、無防備なAI利用によるリスクを抑え、AI利用ポリシー管理を進めたい企業にとって重要な仕組みになる可能性がある。

AI基盤をオンプレで運用し、コストを予測しやすくなる

 加えて同社は、AI基盤をオンプレミス環境で運用するメリットも強調する。パブリッククラウド型AIでは、トークン単位の従量課金によってコストが予測しにくくなるケースがある。一方、自社インフラでAIモデルを運用すれば、「どこまで使っても、コスト上限を把握しやすい」という。

 インフラ面では、NVIDIA製GPUを全面サポートしており、今後はAMD製チップへの対応も予定する。さらに、Google TPUやGroq LPUなどのAIアクセラレータについても、市場需要を見ながら対応を検討する方針だ。

既存環境(Dell、Pure、NetAppなど)を生かしてVMwareから段階移行できる

 Nutanixは現在、BroadcomによるVMware買収後の市場変化を大きな追い風と見ている。ラマスワミ氏によれば、四半期ごとに約500〜1000社の新規顧客を獲得しており、その大半がVMwareからの移行案件だという。

 興味深いのは、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)を強みとして成長してきたNutanixが、Dell Technologies、Pure Storage、NetAppなど外部ストレージ製品との連携を強化している点だ。

 これは、既存ハードウェアをそのまま活用しながら移行できるようにする狙いがある。GPU不足やサプライチェーン問題によって、新規ハードウェア調達には時間もコストもかかる。ラマスワミ氏は、「既存インフラをそのまま使えることが、Broadcomから移行したい企業にとって重要になる」と説明する。

 つまりNutanixは、「全部入れ替える」のではなく、「今ある環境を活用しながら段階移行できる」ことを強みに、VMwareからの移行を望む企業の需要を取り込もうとしている。

ソブリンクラウド対応とベアメタルによる高いレジリエンス

 ラマスワミ氏は、アジア太平洋地域で「ソブリンクラウド」需要が急速に高まっているとも指摘した。

 ラマスワミ氏によると、ソブリンクラウドには以下の3つの要素がある。

  • ローカライズ
    • ある国や地域の法律や規制に合わせて製品やサービスを調整すること。
  • 自立
    • 自国の人材が運用すること。
  • データ主権
    • データを国内で保持すること。

 背景には、地政学的なリスクや大規模なクラウド障害への不安がある。ラマスワミ氏は、「パブリッククラウドにデータを置けば、誰かが全て面倒を見てくれるとは考えられなくなった」と説明する。企業や政府機関は、自らレジリエンス計画を持つ必要があるという。

 そのためNutanixは、コンテナ戦略も拡張している。KubernetesをVMだけでなく、ハードウェアで直接動かす「ベアメタルサポート」を強化した。

 KubernetesをVMで動かす場合、ハードウェア利用効率が最大化されないケースがある 。ベアメタルを通じて、エッジ環境における重量級から軽量級までの様々なコンテナアプリケーションを柔軟に運用しやすくなる。

 同社は、VM、ベアメタル、パブリッククラウドのいずれでも、同じネットワーク、セキュリティ、データベース運用体験を提供できる点を強みとしている。

「Rule of 40」でAI投資の持続性も訴求

 Nutanixは、AI基盤とコンテナ基盤を統合する戦略によって、長期的な財務成長も実現できると説明する。

 同社は2029年までのロードマップとして、10%台後半の売上成長率を維持しながら、「Rule of 40」(40%ルール)を持続的に達成する方針を示した。

 Rule of 40とは、「売上成長率」と「利益率」の合計が40%以上なら、ソフトウェア企業として健全だとされる指標だ。例えば、売上成長率が18%なら、営業利益率20%超を維持する必要がある。

 これは、AIブームに乗るだけではなく、「キャッシュを燃やし続けるのではなく、利益を確保しながら成長する」という姿勢を投資家へ示す意味もある。

 AI時代のインフラ競争では、「どのAIモデルを使うか」だけではなく、「誰が制御権を持つか」「コストをどこまで予測可能にできるか」「AI投資を持続可能な形で続けられるか」が、情シスやCIOの重要な判断材料になり始めている。

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