NutanixがNetAppやDellと驚きの提携 「脱VMware」の現実解は?VMwareの「囲い込み戦略」に対抗

ストレージ市場で激しく競い合ってきたNetAppとNutanixが手を組んだ。HCIの先駆者が、ライバルとの連携を選んだ理由は、仮想化分野でVMwareやRed Hatに並ぶ存在を目指そうとする意図があるという。

2026年04月22日 05時00分 公開
[Alexander S. GillisTechTarget]

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 Nutanixは2026年4月、ストレージの選択肢を広げるため、新たなシステムとパートナーシップを発表した。具体的には、NetAppとの新規提携、Cisco SystemsやDell Technologies、Everpure(旧Pure Storage)、Lenovoとの関係強化を打ち出している。物理サーバでコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を稼働させる「Nutanix Kubernetes Platform Metal」(NKP Metal)の提供も開始した。

 これらの動きの背景には、Nutanix製品で外部ベンダーのストレージ製品を利用可能にすることによって、企業の開発の自由度を高め、特定のベンダーに縛られない体制を整えようとする同社の明確な戦略がある。

 「これによって、Nutanixの技術でシステム運用を統一しつつ、ストレージは好みのものを使うという選択ができるようになる」。ITアナリスト企業HyperFRAME ResearchでCEO兼主席アナリストを務めるスティーブン・ディケンズ氏は、このように評価する。

 以前のNutanixは、ストレージを自社のHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品に組み込む、従来のHCIアプローチを戦略の主軸に据えていた。今回の新戦略によって、企業は既存のシステム構成を維持したまま、同社製品を導入しやすくなる。

 Nutanixの製品およびマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるリー・キャズウェル氏は次のように述べる。「場所を問わず稼働するあらゆる業務を広くカバーできるよう、システムの適用領域は拡大している。われわれはHCIという枠組みを超え、ストレージ分野にもこれまでと同じ運用モデルや使いやすさ、選択肢を提供する」

ライバルとも連携を強化

 外部ストレージ製品との新たな連携や、対象となるツールの拡大については以下の通りだ。

  • Cisco Systems
    • 提携を拡大し、2026年中にはエッジコンピューティングやAI(人工知能)インフラ向けツールの連携を実現する。「Cisco Unified Edge」「Cisco Secure AI Factory」「Cisco AI Pod」などが対象になる。
  • Dell Technologies
    • オールフラッシュストレージ「Dell PowerStore」への適合が実現し、早期アクセスを開始した。
    • ソフトウェア定義ストレージ(SDS)「Dell PowerFlex」との連携も強化し、同期型の災害復旧(DR)機能を追加した。
  • Everpure
    • オールフラッシュストレージ「FlashArray//X」「FlashArray//XL」に加え、新たに「FlashArray//C」を利用可能にした。
    • 同期型のDR機能を追加した。
  • Lenovo
    • 提携を強化し、2026年中にはサーバおよびストレージ製品「Lenovo ThinkSystem」との連携を可能にする予定だ。
    • 自動化ツール「XClarity One」を用いた運用の効率化も視野に入れている。
  • NetApp
    • 2026年中に、ストレージ向けOS「NetApp ONTAP」を利用可能にする。これによって、NetAppのオールフラッシュ製品「AFF A-Series」や一部のハイブリッド構成モデルも利用できるようになる。

 「2年前の2024年であれば、NutanixとNetAppの提携は衝撃的だったはずだ。かつて競合関係にあった両者の協力は、Nutanixの製品が単なるHCI製品から、コンテナやVMを網羅する総合的なシステムへと進化したことを物語っている」とディケンズ氏は述べる。

囲い込みを強める競合他社との違い

 外部の専用機器をストレージエリアネットワーク(SAN)で接続する形態は、今後も企業システムにおいて広く普及すると考えられる。今回の動きは、Nutanixがストレージの自由度を高める方向に方針転換していることの表れだ。

 調査会社Informa Tech(Omdiaの名称で事業展開)のアナリスト、スコット・シンクレア氏は次のように語る。「適応力の向上こそNutanixの狙いだ。外部ストレージ製品の活用が、今後の同社の戦略的ビジョンにおける柱になることを示している」

 対照的な動きを見せるのが、Broadcom傘下のVMwareだ。VMwareはライセンス体系を再編し、ストレージ管理機能「VMware vSAN」を含む製品群全体の購入を企業に求めている。いわゆる「囲い込み」戦略だ。これに対してNutanixは、自社をより適応力の高い選択肢と位置付け、他社製ストレージを組み合わせて使える体制を整えた。

 Red Hatも、自由度を重視した戦略を採るベンダーの一つだ。コンテナ管理ツール「Red Hat OpenShift」「Red Hat OpenShift Data Foundation」を通じて、自由度の高いストレージ連携を推進している。

 「Nutanixは運用の簡素化という領域で差異化を図ろうとしている。同社が強みとしてきた使い勝手の良さを、外部ストレージやコンテナを扱うシステム構成にも広げようとしている」(シンクレア氏)

物理サーバ向け新製品「NKP Metal」

 NKP Metalは、コンテナ管理システム「Nutanix Kubernetes Platform」(NKP)の機能を拡張するものだ。従来のNKPは仮想マシン(VM)という中間層を介してコンテナを稼働させていたが、NKP Metalは物理サーバで直接コンテナを動かすことができる。コンテナ化されたアプリケーションがVMや仮想化ソフトウェアを介さずにCPUとメモリにアクセスできるため、処理を効率化し、パフォーマンスの向上につなげる狙いがある。

 NKP Metalの投入によって、Nutanixはアプリケーションの実行環境として、VMwareやRed Hatに匹敵する地位を確立する構えだ。

 「Nutanixの目標は、VMとコンテナがどこにあっても、簡素に管理できる手段を提供することだ」とシンクレア氏は説明する。

 このようなシステム構成には、大容量かつ高速なストレージが欠かせない。コンテナ向けの専用ストレージとしては、「Nutanix Container Storage Interface」(Nutanix CSI)や「Cloud Native AOS」が対象になる。NKP Metalは、Lenovo ThinkSystemやCisco Unified Edgeといった製品群とも連携できるようになる。

 Nutanixは一部のライセンス保持者に向けてNKP Metalの早期アクセスを開始しており、2026年後半には一般提供を開始する見通しだ。

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