フルスタック開発者は年収800万円から
日本の業務委託エンジニアは世界3位の高単価 調査で見えた「稼げるテック人材」の条件
AI時代に求められるテクノロジー人材はどのようなものか。ヘイズ・ジャパンは、世界9870人のテック人材を対象にした調査結果を公開。これから求められるテクノロジー人材と給与レンジを明らかにした。
「AIが普及したら、エンジニアの仕事はなくなるのか」「今後、価値が高まるテクノロジー人材は何か」――。生成AIの急速な進化によって、IT人材市場にも大きな変化が起き始めている。
こうした中、人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(以下、ヘイズ・ジャパン)は2026年5月20日、テクノロジー業界の報酬動向をまとめた「Tech Talent Explorer」を公開した。世界9870人のテック人材を対象にした調査では、AIは“仕事そのもの”を消滅させるのではなく、「一部のタスク」を置き換える形で進化が進んでいることが明らかになった。
一方日本市場では、テクノロジー人材の役割は再定義されつつあり、グローバルな労働市場の中でも競争力のある報酬水準を維持しているという。
日本市場におけるテクノロジー人材のポジションや賃金動向の今後の見通しはどのようなものか、調査結果から紹介する。
「新しいテック人材」と給与レンジは?
調査によると、クラウドエンジニアやデータサイエンティスト、AI開発者といった“ソフトウェア集約型”の職種は、AIによる影響を受けやすい領域だという。
ただし、その影響は「職種の消滅」ではない。AIによって定型的な業務は自動化されていく見通しだ。人間には、定型的な業務の設計、監督、品質管理、問題解決といった役割が引き続き求められる。
一方で、プロジェクトマネジャーやチェンジマネジャーのように、調整力や意思決定能力、組織横断的な統制力が必要な職種は、AIの代替を受けにくいという。
つまり企業は、「純粋な技術力」だけではなく、“AIを活用しながら組織変革を進められる人材”を求め始めていることになる。
企業が特に欲しがる「3つの領域」
ヘイズ・ジャパンによると、日本企業で特に需要が高まっているのは、「レガシーシステム刷新」「クラウド移行」「AI導入」の3領域だ。
背景には、日本企業の構造的な課題がある。多くの企業は老朽化した基幹システムを抱えており、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やAI活用を進めるためには、既存環境の近代化が避けられない。
そのため、単に最新技術を扱えるだけでなく、「既存システムを理解しながら段階的に変革を進められる人材」の価値が高まっている。
さらに企業は、技術スキルだけではなく、「ビジネス成果につなげる力」を強く重視し始めている。
具体的には以下のような能力だ。
- 経営層や事業部門への説明力
- ステークホルダー間の調整能力
- リスクの認識能力
- 技術投資を事業成果へ結び付ける視点
これは、従来の“技術特化型エンジニア”だけではなく、「技術とビジネスを橋渡しできる人材」が重視され始めていることを意味する。
日本企業が提示する給与レンジは?
調査では、日本国内の主要テック職種の想定年収レンジも公開された。
- フルスタック開発者:800万~1400万円
- AI開発者:700万~1500万円
- クラウドエンジニア:700万~1200万円
特に、AIやクラウド領域では中堅人材不足が深刻化しているという。その結果として、企業側は以下のような条件提示を強めている。
- 市場平均を上回るプレミアム報酬
- 給与レンジの拡大
- サインオンボーナス
- 特定のスキルに対する手当や報酬の上乗せ
ヘイズ・ジャパンは、日本市場では“慎重ながらも堅調”な採用姿勢が続いていると分析する。特に、AI導入やクラウド移行など「実際に変革を進められる人材」への投資は今後も続く可能性が高いという。
日本は「契約型人材」の報酬が世界上位
興味深いのは、日本市場における業務委託など「契約型人材」の単価水準だ。
日本は、テクノロジー人材の契約単価ランキングで34カ国中6位となった。特にソフトウェア開発者は世界3位(1位デンマーク、2位スイス)という高順位だった。
一方、正社員給与水準では34カ国中18位にとどまっている。
この結果からは、日本企業が「必要な専門スキルを外部から高単価で確保する」傾向を強めている可能性も見えてくる。
さらに、特定技術だけではなく、「変革推進力」「組織横断力」「ビジネス理解」を持つ人材が、より高い市場価値を持つようになり始めていることが示唆される。
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