「技術よりも運用の壁が深刻」 システム開発での生成AI活用最大の課題は?システム設計で生成AI活用が6割超

日鉄ソリューションズは、国内のシステム開発従事者を対象に生成AIの活用実態を調査した。設計フェーズで生成AIを活用している割合は63.2%に達した一方、課題を抱える企業が多いことが分かった。

2026年05月29日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 日鉄ソリューションズは2026年5月26日、システム開発の設計フェーズにおける生成AIの活用実態を尋ねた調査結果を公開した。

 国内でシステム開発に携わる872人を対象に実施した調査によると、設計フェーズで生成AIを活用している割合は63.2%に達した。生成AIを利用している500人に聞いたところ、工数削減や品質向上を実感する声が多い一方で、活用方法の標準化やプロセス整備に課題を感じている実態も明らかになった。

生成AI運用における課題と対策は?

 調査では、設計フェーズで生成AIを利用している人に対して、その活用目的を尋ねた。その結果、最も多かったのは「ドキュメント作成支援」(43.6%)だった。次いで「コード生成/実装支援」(38.6%)、「生産性向上(作業の自動化・時短)」(35.8%)、「品質向上(レビュー強化・抜け漏れ低減)」(32.0%)が続いた。

 この結果からは、生成AIが単なるコード補完ツールではなく、設計書作成やレビュー支援など、上流工程を含む設計業務全体へ広がり始めていることが見えてくる。

 導入効果としては、「ドキュメント作成工数が減った」(41.2%)、「レビュー指摘や手戻りが減少した」(30.8%)といった回答が目立った。設計業務では、仕様整理やレビュー対応、設計書修正などに多くの時間が割かれる。生成AIは、こうした設計作業に要する工数削減と品質向上にも使われ始めているようだ。

「まずは一部適用」が多数派

 では、企業はどの程度まで生成AIを設計成果物へ適用しているのか。

 最も多かったのは「一部の設計書に利用している」(45.0%)だった。「ほぼ全ての設計書に利用している」は22.6%、「特定の設計書にのみ利用している」は18.0%となっている。

 この結果からは、多くの企業が“全面導入”よりも、“限定導入で効果検証”を進めている段階にあることがうかがえる。特に設計フェーズは、システム品質や後工程に大きな影響を与える領域だ。誤った設計や曖昧な仕様が後続工程の手戻りにつながるため、企業側も慎重に適用範囲を見極めている可能性がある。

最大の壁は「技術」ではなく「運用」

 一方、調査では、生成AIの導入・運用において約9割が何らかの課題を感じていることも明らかになった。

 課題としては、セキュリティや品質担保、ツール連携といった技術面に加え、「利用方法が属人化している」「社内ルールが整備されていない」といった組織運用面の問題も挙がっている。

設計フェーズへの生成AI導入・運用における課題 設計フェーズへの生成AI導入・運用における課題

 これは、多くの企業で見られる「AI活用の初期段階」の特徴とも言える。現場単位でAI活用が先行し、組織全体としての標準化や品質管理が追い付いていない状況だ。

「AI前提の設計プロセス」へ変わる可能性

 日鉄ソリューションズは、今後の重要テーマとして、「AIに適した設計ドキュメント構造(AI Ready化)」「ナレッジ蓄積・再利用」「人とAIの役割分担の最適化」を挙げている。

 従来の設計書は“人間が読むこと”を前提に作られてきた。一方、生成AI活用が前提になると、「AIが理解しやすい構造になっているか」「再利用可能な形式か」といった観点も重要になる。

 例えば、設計ルールや命名規則、インタフェース仕様が統一されていなければ、AIによる生成品質も安定しにくい。逆に、ドキュメント構造やナレッジ管理を標準化できれば、AIによるレビュー支援や設計支援の精度向上が期待できる。

 つまり今後は、「AIツールを導入したか」だけではなく、「AIを前提に設計プロセスを再設計できるか」が、開発競争力の差につながる可能性がある。

 この調査結果は、生成AIの導入が単なる開発効率化ツールにとどまらず、設計プロセスや組織運営そのものを見直す契機になり始めていることを示唆している。

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