8分で理解 Google ADKで始めるAIエージェント構築とブログ自動生成の実践ReActの仕組みとADKによる実装手順を紹介

GoogleのシニアAIデベロッパーリレーションズエンジニアが、AIエージェントの基本概念とGoogleのADKを使ったAIエージェント構築、実装を8分で学べる動画を公開した。

2026年06月17日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 AIエージェントは、単に質問に応答する従来のチャットbotとは異なり、状況を判断して自ら行動を起こすことができるソフトウェアだ。必要に応じてAPIを呼び出し、外部システムを操作し、その結果を確認しながら次の行動を決定する。

 GoogleのシニアAIデベロッパーリレーションズエンジニア、スミタ・コラン氏は、AIエージェントの基本概念と、GoogleのAIエージェント開発キット(ADK)を使った実装例を8分にまとめた。

8分で理解するAIエージェントの構築と実装

 AIエージェントの基盤として広く知られているのが「ReAct」(Reasoning and Acting)という考え方だ。

 従来の大規模言語モデル(LLM)は、ユーザーの入力に対して一度に回答を生成する。しかしAIエージェントは、単に文章を出力するだけではない。

 まず状況を分析し、どのような手順で問題を解決するべきかを推論する。その後、APIの呼び出しやツールの実行といった行動を取り、その結果を観察する。そして得られた情報を基に次の行動を決定する。

 つまりAIエージェントは、以下のサイクルを繰り返しながら目標達成を目指す。

  • 推論(Reasoning)
  • 行動(Acting)
  • 観察(Observing)
  • 調整(Adjusting)

AIエージェントの3つの行動パターン

 コラン氏によると、AIエージェントの振る舞いは3つに分類できる。

1.逐次型(Sequential Agents)

 組み立てラインのようにステップ1から順番に実行する、予測可能で厳格なパターンだ。一方で、想定外の状況への対応は苦手だ。ワークフローが明確な業務や定型処理に向いている。

2.反応型(Reactive Agents)

 その瞬間の状態を見て「次に何をするべきか」を柔軟に決定できるのが、反応型だ。例えば、ある場面では検索ツールを使い、別の場面ではデータベースを参照するといった柔軟な判断ができる。ただし、将来の工程まで見据えた計画は立てないため、複雑なプロジェクト管理には向かない。

3.計画型(Planning Agents)

 実行前に一時停止して全体の計画を作成し実行する。旅行の予約のような依存関係のある複数ステップの目標に適している。具体的には、航空券を予約する際、その前に日程や宿泊先を決める必要がある。このように依存関係のある複数ステップのタスクでは、計画型が有効だ。

 コラン氏によると、企業における業務自動化やAIエージェント活用の多くは、この計画型の考え方に近い。

ブログ記事を作るAIエージェントを実際に作ってみる

 次にコラン氏は、GoogleのAIエージェント開発フレームワーク「Agent Development Kit」(ADK)を使って複数のAIエージェントが連携する「ブログ執筆システム」を構築する手順を紹介した。まず開発環境にADKをインストールし、エージェントを定義するプログラムファイルを作成する。その後、以下の5つのステップでシステムを構築していく。

ステップ1.ブログプランナーを作成する

 最初に作成するのがブログプランナー(Blog planner)だ。ユーザーが与えたトピックをもとに、タイトル、導入、4〜6つのセクション、結論を含むブログのアウトラインを作成する。

 コラン氏は、生成してほしい構成をプロンプトで明確に指定することが重要だと説明する。生成されたアウトラインは、AIエージェント間でデータを一時的に保存、受け渡すための共通のメモリ領域に保存される。

ステップ2.アウトライン検証チェッカーを追加する

 次に、アウトライン検証チェッカー(Validation checker)を作成する。このエージェントは文章を生成するのではなく、アウトラインにタイトルや導入文、4〜6個のセクション、結論が含まれているかを確認する。

 条件を満たしていれば「OK」、不足があれば「Retry」を返し、問題点を指摘する。

ステップ3.ループエージェントで品質を担保する

 続いて、ブログプランナーと検証チェッカーをループエージェント(Loop agent)でまとめる。

 ループエージェントは、アウトライン生成と検証を繰り返し実行する仕組みだ。検証結果が「OK」であれば次の工程へ進み、「Retry」であれば再びアウトラインを生成する。最大3回まで再試行することで、LLMの出力品質を安定させる役割を果たす。

ステップ4.ブログライターと記事検証チェッカーを実装する

 アウトライン作成が完了した後は、ブログライター(Blog writer)を実装する。

 ブログライターは保存されたアウトラインを受け取り、指定されたターゲット層に向けたブログ記事を執筆する。動画では、読者をソフトウェアエンジニアと想定し、「なぜその動作を実行するのか」といった背景説明やコード例を盛り込むよう指示している。生成した記事は共有ステートに保存される。

 さらに記事本文についても専用の検証チェッカーを用意する。導入文や結論が存在するか、アウトラインに沿った構成になっているかなどを確認し、不備があれば再生成を指示する。この検証チェッカーもループエージェントと組み合わせることで、記事品質を自動的に向上させる。

ステップ5.ルートエージェントで全体を統括する

 最後に、ルートエージェント(Root agent/Blogger)を作成する。

 ルートエージェントは、ブログプランナーとブログライターをツールとして呼び出す全体の司令塔だ。ユーザーからテーマを受け取ると、まずアウトライン作成ツールを実行し、その後に記事作成ツールを呼び出す。最後に代替タイトルやSNS向けの文章を生成して処理を完了させる。

 つまり、このシステムは「計画→検証→執筆→検証→仕上げ」という流れで動作する。単一のAIに全てを任せるのではなく、役割ごとに専門エージェントを分割し、それらを統括エージェントが連携させることで品質と再現性を高めている点が特徴だ。

本稿は、Google Cloud Techが2026年6月10日に公開した動画「AI agents explained:Build your first agent in 8 minutes」を基に作成しました。

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