1つの窓口で管理することの理想と現実
vCenterでは限界も? 物理リソース管理に消極的なVMware
多種類の管理ツールの存在は、多くのIT管理者にとって苦労の種になっている。VMware vCenterは、物理リソースの管理も行えるよう拡張されるべきなのだろうか。
サーバ仮想化の進展に伴い、米VMwareの「VMware vCenter」(以下、vCenter)は多くのITマネジャーの世界の中心になりつつある。この人気の高い管理ツールは、物理リソースの管理も行えるよう拡張されるべきなのだろうか。
vCenterは既に、多くの点で仮想リソースと物理リソースの両方を管理できる。同製品は、システムの可用性とパフォーマンスに関する情報を提供するだけでなく、資産、セキュリティ、コンプライアンス、バックアップなどの情報を提供する重要なソースでもある。このため、インフラ管理ツールプロバイダーの中には、vCenterを顧客企業の環境の最大公約数と考え、自社製品とvCenterを連係した企業もある。
平均的な大企業では約60%のアプリケーションが仮想化され、それ以外のアプリケーションは物理ハードウェア上で動作している。企業が今後全てのアプリケーションを仮想化する可能性は低いが、「ITマネジャーは管理アプリケーションをさらに合理化したいと考えている」と指摘するのは、米Egeneraのマーケティング担当副社長のジョン・ハンフリーズ氏だ。同社はインフラプロビジョニング用ソフトウェア「PAN Manager」を開発した企業だ。
極めて多種類の管理ツールが存在することが、多くのデータセンター管理者にとって苦労の種になっているのが現状だ。仮想化分析企業の米Virtualization Practiceのアナリスト、バーンド・ハーゾッグ氏は「データセンター管理者らによると『標準的な企業では150種類の管理ツールを使用しているが、そのうち149種類は使いたくないと考えている』ということだ」と話す。
各社のインフラ管理ツールは、さまざまな形で仮想化技術を利用している。
例えばEgeneraでは、専用ハードウェア上で動作するPAN Managerに加え、VMwareの仮想マシン内で動作するバージョンも提供している。
「PAN Managerを運用する環境については柔軟な選択肢を顧客に提供したい」とハンフリーズ氏は話す。
それよりもさらに踏み込んで、自社のツールをプラグインとしてvCenterに直接組み込んで提供しているベンダーもある。
無停電電源装置のプロバイダーである米Eatonは、同社の「Intelligent Power Manager」アプリケーションをプラグインとしてvCenterおよび米Citrix Systemsの「XenCenter」に組み込んだ。ユーザーが開けなければならない管理コンソールの数を少なくするのが狙いだという。Eatonで「Power Quality」ソフトウェアを担当する製品マネジャー、ジム・テシアー氏によると、同社では、これらの仮想化プラットフォームのライブマイグレーション、ロードバランシング、リモートシャットダウンといった機能も利用しているという。
「われわれは仮想化の波に乗るつもりだ。仮想化はIT分野で最も重要な進歩の1つであるからだ」とテシアー氏は話す。
VMwareでエンタープライズ管理部門の製品マーケティングディレクターを務めるロブ・スムート氏は、VMware自身も物理管理技術の範囲を拡大する取り組みを開始したという。例えば、「vCenter Operations」が備えるパフォーマンス監視、アプリケーションのマッピング、プロビジョニング、パッチ適用などの機能は、物理と仮想を合わせたIT環境全体に対応する(関連記事:複雑化するvSphere環境を高度に管理 vCenter Serverの上位製品登場)。
しかしVirtualization Practiceのハーゾッグ氏によると、物理環境でvCenterができることには限界もあるという。
「VMwareのvCenterは、VMware vSphereから通知されたことしか分からない」とハーゾッグ氏は話す。物理機器のベンダーの中には、VMwareから提供されたAPIを利用して自社のソフトウェアを組み込んでいる企業もあるが、そのことが制約要因になっているという。
スムート氏によると、VMwareでは物理環境への対応強化に向けた本格的な計画は持っていないという。「われわれは物理環境に進出したが、物理環境全体を管理することが当社の方針ではない」と同氏は説明する。「われわれの目標は、簡素化と自動化によって物理環境の管理の苦労を軽減することだ」
結局のところ、仮想環境の管理者は、vCenterと物理的IT資産との連係をさらに深めることをそれほど望んでいないのかもしれない。
米中西部の大学で仮想化アーキテクトを務めるボブ・プランカーズ氏は「1つの窓口で管理できるというのは理屈の上では素晴らしいように聞こえるが、連係するのは大変だし、ベンダーの協力も必要だ。そういった連係を実現しても、今度はベンダーにあれこれと指図しなければならない」と話す。
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