8割の企業は開発に着手
製造現場の“働くモバイルアプリ” 開発の現状は?
最新の調査結果から、製造業界におけるモバイル向け社内アプリケーション導入の現状と今後の見通しが明らかとなった。モバイルアプリの活用に向けた社内環境の整備にも話は及んでいる。
製造現場では、モバイル端末と専用アプリケーションがますます一般的になってきている。それに伴い、「エンタープライズモビリティをどのように管理すればいいのか」という問題の解決が喫緊の課題となってきた。企業の社内アプリケーションストアは、従業員用のモバイルエンタープライズアプリケーションの品質とセキュリティ、そして統一性を確保するための1つの手段だが、この考え方が注目されるようになったのはつい最近のことである。
調査会社の米IDC Manufacturing Insightsが最近発表した報告書「Looking Forward to the Corporate Application Store(社内アプリケーションストアの展望)」では、製造業界における社内アプリケーション導入の現状と今後の見通しが述べられている。
「社内アプリケーションストアがモバイルアプリケーションの配信を効率化する有効な手段となるには、ストアが端末とアプリケーションソースから独立し、会社の認可を受けるとともに、社内のガバナンスとセキュリティの要件を満たさなければならない」と同報告書は述べている。また、米国企業における社内アプリケーションストアの導入率は20%程度にすぎないが、調査対象となった製造企業の約80%がモバイルアプリケーションの開発を進めており、従来型アプリケーションの開発ペースを上回っている状況もIDCの調査で明らかとなった。
「社内アプリケーションストアの普及率はまだたいしたことはないが、今後1年半から2年で勢いづくものと思われる」。IDCの調査マネジャーで報告書の作成にも携わったヘザー・アシュトン氏はこのように述べている。
アシュトン氏によると、2013年のモバイル市場調査の結果と2012年の結果との最大の違いは、社内アプリケーションストアをめぐる問題が1年前には意識すらされなかったことだという。「この2年間で企業におけるモバイル端末の利用の熟達度が大幅に向上したことを考えれば、企業の関心がこれらの端末をどう管理するかという問題から、アプリケーションをどう管理するかという問題に移行したのも当然だといえる」と同氏は語る。「社内アプリケーションストアの導入はまだ始まったばかりだが、ほんの数年前までは話題にも上らなかったのだ」
企業規模と業種によって異なる社内アプリケーションストアの導入状況
「社内アプリケーションストアの導入率は、企業規模や製造分野の業種によって多少異なる」とアシュトン氏は指摘する。IDCでは、製造分野の業種を「IT志向型」「ブランド志向型」「技術志向型」「資産志向型」といった4種類の“バリューチェーン”に分類している。「IT志向型のハイテク電子機器メーカーが他の業種よりも先行している。その中には数百本の社内モバイルアプリケーションと数万台の端末を管理している企業もある」とアシュトン氏は語る。
IDCの調査では、自社の業種独自のビジネスニーズに合ったカスタムアプリケーションを設計、開発、配備、管理するメーカーが増えていることも明らかになった。「メーカーがカスタムアプリケーションを管理する社内アプリケーションストアを成功させるには、従業員がストアを積極的に利用してアプリケーションのダウンロードと管理を行うよう仕向けるとともに、ストア内のアプリケーションを常にメンテナンスすることで従業員の関心をつなぎ止めるようにしなければならない」とIDCの報告書は強調する。
同報告書によると、調査対象のメーカーの中では規模の大きい企業ほどアプリケーションストアへの関心が高い傾向にあったという。これは、企業規模が大きければ、管理すべきモバイル機器も多くなるという単純な理由によるものだ。「製造分野では中堅企業と大手企業の方が、個人所有と会社保有のどちらの形態についても多数の端末を管理していることが分かった。これらの企業は、モバイルアプリケーションに目を向け、どのように対処すべきか検討しなければならなくなってきた」とアシュトン氏は述べている。
製造業向けモバイルアプリケーションを最大限に活用するには
アシュトン氏は、社内アプリケーションストアおよびエンタープライズモビリティ全般の利用を拡大しようと考えているメーカーへのアドバイスとして「社内モバイルアプリケーションを利用可能にするOSの種類を把握すべきだ」と述べている。
「(会社全体で)1つのモバイルOSに特定するのは時期尚早だ。今後も、Android、iOS、BlackBerry、Windowsなど各種OSのサポートを継続することが望ましい。製造業にとってどれが主要なOSとして生き残るのかは、現時点では不明だ」と同氏は付け加える。
アシュトン氏によると、報告書から浮かび上がったもう1つの必須事項は「社内アプリケーションをどのように作成、管理し、それを従業員に配布するか」という点を重視する必要があるということだ。「製造企業は、モバイルアプリケーション管理を担当する専門部署を社内に立ち上げるのか、それとも外部の業者に管理を委託するのかを決める必要がある」と同氏は語る。
「既に付き合いのあるITサプライヤー、例えば、業務アプリケーションのプロバイダーなどが、モバイル分野でどういった戦略を打ち出しているのかを確認した上で、外部業者に委託するのか、クラウド方式を採用するのか、それとも社内のモバイル専門部署が担当するのかを決めなければならない」(同氏)
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