それでも暗号通貨がニッチであり続ける理由ニッチ市場の暗号通貨(前編)

ビットコインをはじめとする暗号通貨の話題が新聞やWebメディアに掲載されない日はないほど、メジャーになってきた。それでもニッチなニーズを満たす存在であり続けるという理由は?

2017年09月14日 08時00分 公開
[Angelica MariComputer Weekly]
Computer Weekly

 ケンブリッジ大学が公開した最近の世界的調査によると、暗号通貨(デジタル通貨の一種で、暗号アルゴリズムに立脚した仮想通貨)市場は2016年に3倍の成長を記録し、2017年4月までに270億ドル規模に到達すると予測されるという。それでも、暗号通貨が主流にならないのはなぜだろう。

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 「Global cryptocurrency benchmarking study(暗号通貨ベンチマークの世界的調査)」によると、全世界には現在290万〜580万人の暗号通貨ユーザーがいるという。最初の暗号通貨である「ビットコイン」が登場したのが2009年だったこと、全世界の成人人口の半数が銀行口座を所有していることを考えると、この数字はユーザーベースとしてはやや小さいように思える。

 同レポートによると、ビットコインが群を抜いて好まれている暗号通貨だという。ビットコインは、市場取引の約72%を占め、2016年12月に時価総額140億ドルを記録した。他にも、「Ethereum」(市場シェア16%)、「Dash」(市場シェア3%)、「Monero」「Ripple」「Litecoin」(3つ合わせて市場シェア1%)などの通貨が登場し、成長している。

 「暗号通貨はグローバル化すると同時に局所化している。つまり、取引には国境がないが、マイニングが行われる地域は集中している」(同レポート)

 「業界はますます流動的になりつつある。取引と財布の境が曖昧になり、エコシステムが拡大することで、ビットコインだけでなく多数の通貨がサポートされるようになっている」

 市場データプロバイダーCoinCapによると、名の通った通貨に加え、500以上の暗号通貨が現在流通しているという。だが、こうした通貨はどの国の中央銀行にも、どの政府にも支援されていない。

 こうした数字は印象的かもしれないが、暗号通貨の実際の使用例には限りがあり、デジタル台帳ブロックチェーンは今でもイノベーションラボの域を出ない。ブロックチェーンを利用するアプリケーションは、金融機関ではほとんど使用されていない。

ニッチを追求

 ビットコインなどの暗号通貨は、ニッチなユーザーカテゴリーの要求を満たす金融ツールだ。そして、今後もそうであり続けるだろう。そう語るのは英国のデジタルマネー専門家で、コンサルティング会社Hyperionのディレクターを務めるデービッド・バーチ氏だ。

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