主要PaaSベンダー10社、ツールの長所と短所を総比較AWS、Microsoft、Google、Red Hat、Pivotalなど(2/2 ページ)

2018年07月27日 05時00分 公開
[Zachary FlowerTechTarget]
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6.Heroku

コスト 月額0ドルから
ライセンス 商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 Clojure、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby、Scala

 「Heroku」は、大きな人気を誇るPaaSの1つで、使いやすさとスケーラビリティに重点を置くサービスだ。スタートアップやSMBに広く利用されている。だがHerokuは、きめ細かなセキュリティやアクセス制御機能を追加したエンタープライズレベルのサービス「Heroku Enterprise」も提供している。

 人気のWebサービス開発言語に加えてClojureとScalaをネイティブにサポートし、自動スケーラビリティやアプリケーションバージョン管理といった機能も備えるHerokuは、大規模なサードパーティーアドオンマーケットプレースのおかげで、ベンダーロックインのリスクが低く、オーバーヘッドが小さいシステムとなっている。

 Herokuは2011年にSalesforceに買収された。Herokuの最も目覚ましい機能の1つは、高度なCIプラットフォームだ。CIでは、テストとデプロイは一般的な機能だが、Herokuは、これらを一歩推し進めた「Review Apps」機能を提供している。この機能は、バージョン管理ブランチに直接接続され、短期間存在するアプリケーションインスタンスを使って、新機能のレビューとテストを行ってから、新機能をコードベースに統合できるものだ。

 Herokuは高度なユーザビリティーを提供する半面、構成できる対象や範囲が非常に限られる。このことは複雑なアプリケーションでは問題になる場合がある。

7.Pivotal

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス Apache License 2.0、商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 .NET、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby

 「Pivotal Cloud Foundry」(PCF)は、オープンソースのクラウドアプリケーションプラットフォーム「Cloud Foundry」をベースにしたPivotalの商用PaaSだ。Pivotalのアプリケーション、コンテナ、サーバレスサービスを使用するかどうかにかかわらず、オンプレミスデプロイとマルチクラウドデプロイの両方に対応できるように設計されたスケーラブルなプラットフォームだ。

 PCFは、あらゆる規模の組織で利用できるが、プライバシーとセキュリティが重視されているため、機密性の高いデータを扱うアプリケーションのための候補になる。転送中のデータの暗号化や、マネージドOSパッチング、安全な資格情報管理、ゼロダウンタイムデプロイといった機能を持つPCFは、一連の強力なセキュリティツールおよびプロセスを提供する。

 Pivotalは、ある程度ターゲットを絞ったPaaSであえるため、大手クラウドプロバイダーのPaaSほど高い柔軟性を提供しないかもしれない。このことに留意することが重要だ。多数の関連サービスを必要とするアプリケーションには、MicrosoftのAzure App Serviceや「Oracle Cloud Platform」の実装の方が適している可能性がある。

8.Oracle

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス 商用
市場 エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 .NET、Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby

 Oracle Cloud Platformは、オンプレミスとクラウドの両環境に最適化されたOracleのエンタープライズ向けPaaSだ。Oracle Cloud Platformはコンテナと一般的なプログラミング言語をネイティブにサポートするが、このPaaSの真価は、インテリジェントな自動化にある。

 Oracle Cloud Platformは、AI(人工知能)と機械学習プロセスに支えられ、自動セキュリティおよびスケーラビリティを提供し、ユーザーを日常的なインフラ管理作業から解放する。Oracle Cloudポートフォリオの他サービスに直接アクセスできるOracle Cloud Platformは、既にOracleに投資している、あるいはクラウドの初導入を検討しているエンタープライズのための堅実な選択肢だ。

 Oracleのクラウドサービスは守備範囲が広いことから、ユーザーにとって、ベンダーロックインを回避し難いこともある。Oracle Cloudは、50種類程度のサービスを提供しており、その多くに依存すると、将来的に他のプラットフォームに乗り換え難くなるかもしれない。

9.IBM

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス Apache License 2.0、商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 Go、Java、Node.js、PHP、Python、Ruby、Swift

 IBMのPaaS「IBM Cloud Platform」(IBM Cloud)は、PCFと同じくCloud Foundryを基本コンポーネントとして採用し、IBMの広範なクラウドサービススイートと組み合わせた強力なプラットフォームだ。

 IBM CloudのPaaSは、.NETやC#といったWindowsベースの言語をサポートしていないが、今回取り上げたPaaSの中で唯一Swiftをネイティブにサポートしている。他にも人気プログラミング言語とコンテナをサポートしている。さらにIBM CloudのPaaSは、アプリケーション開発をステートレスプロセスとして促進し、スケールアウトとスケールアップ、オーバーヘッドの最小化を実現するフォールトトレラントプラットフォームでもある。

 IBM CloudのPaaSは、それ自体で魅力的なPaaSオプションだが、真の強みは「IBM Watson」に効率的にアクセスできることにある。IBM CloudのPaaSとWatson APIとの連携により、組織はインフラを追加することなく、自然言語処理からオブジェクト認識のサポートまで、AI機能をアプリケーションに統合できる。

10.Jelastic

コスト 利用の仕方によって変動が大きい
ライセンス 商用
市場 スタートアップ/SMB/エンタープライズ
サポートするプログラミング言語 .NET、Java、Node.js、PHP, Python, Ruby

 Jelasticは、非常にユニークなPaaSの1つだ。自身のインフラではなく、任意のクラウドプロバイダーや、さらにはローカルへのデプロイに対応している。これはJelasticではベンダーロックインが特に発生しにくく、1つのプラットフォームというボトルネックがなく、プロバイダー間やリージョン間で耐障害性の高いデプロイが実現できるということを意味する。

 Jelasticは、特定のクラウドプロバイダーに依存しないが、Jelasticが利用可能なホスティングパートナーのリストは、包括的なものには程遠い。めぼしいベンダーが見つからなければ、これは利用の妨げになるかもしれない。

 Jelasticは、直感的なユーザーインタフェース(UI)と強力なコマンドラインユーティリティーを利用して、1つまたは多くのクラウドにシンプルかつスケーラブルなプロセスでデプロイできる。Jelasticはあらゆる規模の組織を想定して構築されているが、ホスティングオプションを多様化したいと考えるスタートアップや小規模な組織にとって、特に強力なプラットフォームだ。

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