サービスインに間に合わなかった原因は何だったのか?プロジェクトマネジャーに贈るプロセス改善事例 第1回

いざ顧客の環境にシステムを配置したところ障害報告や問い合わせが殺到し、結局サービスインに間に合わなかったということはないだろうか? X社では、自社の失敗経験を生かしてその問題を解決した。

2008年10月03日 08時30分 公開
[辻 大輔,豆蔵]

プロセスを改善するということ

 開発プロジェクトの現場では、大なり小なり必ず問題が存在する。それらの問題は最終的に低品質、予算超過、納期遅延などプロジェクトの失敗につながることもある。この状況を打開しようとさまざまな手を打っている企業は多いが、その打ち手は必ずしも大きな成果を挙げているとはいえない。

 よくある要因の1つに、問題が顕在化した際に安易に個人や組織・ツールを原因と特定し、対策を講じようとすることが挙げられる。個人を原因として対策を施した場合、問題は解決したとしても組織には何も蓄積されない。そればかりか、人格否定など別の問題を発生させることもある。また、ツールおよび組織についていえば、そもそもなすべきことを効率的に実行するために組織は編成され、ツールは選定されるべきだ。なすべきことをきちんと分析せずに、組織やツールに対症療法を施しても、成果が出ない場合が多い。

 そこで、なすべきこと、すなわちプロジェクト遂行のための「活動の定義」「活動の手順」「成果物」に焦点を当て、対策を実施する。これを「プロセス改善」と定義する。

 このプロセス改善を実効性のあるものにするためには、3つの要素が不可欠である。「知識」と「スキル」と「やる気」である。

photo プロセス改善を成功させる3要素

 筆者らは、顧客の開発プロジェクトの現場にて、プロセス改善の支援コンサルティングを行っている。これから6回にわたり、毎回ある問題と改善すべきプロセスに焦点を当て、その改善事例を紹介していく。本連載が、読者であるプロジェクトマネジャー、リーダー、メンバーのプロセス改善活動の一助となれば幸いである。

関連ホワイトペーパー

生産管理 | バグ | 開発プロセス | システム構築


ITmedia マーケティング新着記事

news112.jpg

「インクルーシブマーケティング」実践のポイントは? ネオマーケティングが支援サービスを提供
ネオマーケティングは、インクルーシブマーケティングの実践に向けたサービスを開始した...

news135.jpg

Xが新規アカウントに課金するとユーザーはどれほど影響を受ける? そしてそれは本当にbot対策になるのか?
Xが新規利用者を対象に、課金制を導入する方針を表明した。botの排除が目的だというが、...

news095.jpg

Googleの次世代AIモデル「Gemini 1.5」を統合 コカ・コーラやロレアルにも信頼される「WPP Open」とは?
世界最大級の広告会社であるWPPはGoogle Cloudと協業を開始した。キャンペーンの最適化、...