IP-VPNとマネージドVPN、どちらを選ぶ?中堅・中小企業のためのマネージドVPN【前編】

今やオフィス間、あるいはリモートアクセス手段としてVPNは欠かせない存在となった。その一方で問題となるのは、導入や運用の難しさ。こうした問題を解決する切り札となるVPNサービスがある。

2009年02月12日 08時00分 公開
[池田冬彦]

マネージドVPNが登場した訳

 今、手軽に導入でき、運用の手間も掛からない「マネージドVPN」に企業の関心が集まっている。通常、VPN導入にはネットワーク設計や機器の選定、設置などの面倒な作業が発生するだけでなく、拠点間のVPN接続のための難解な設定作業を行う必要がある。専任の情報システム部門を持つ企業であれば問題はないが、専任管理者がいない中堅・中小企業にとって、VPNの導入は依然としてハードルが高い。

 VPNの方式にはさまざまな種類があるが、拠点間の接続に広く利用されているのが「IPsec方式」だ。IPsecのセキュリティレベルは高く、発信元アドレスやデータ内容の真正性(改ざんされていないこと)、データ漏えいに対する保護機能などを持つ。今ではVPNの代名詞として利用されており、対応するVPNルータの種類も豊富だ。

 だが、IPsec VPNを導入するには拠点ごとにVPNルータを購入し、それぞれ難しい設定を行う必要がある。また、IPsecではIKE(インターネット鍵交換)という仕組みを使って、相互認証とデータの暗号化を行うため、鍵の生成や認証作業、管理といった面倒な運用も発生する。しかも、IPsecの通信は通常ルータを越えることができない。NATによるIPアドレス/ポート番号の変換が行われた時点で、そのパケットが「改ざんされた」ものと見なされ、正常に通信できない。このためネットワーク構成の変更も必要になる。

 このように、IPsecのハンドリングの難易度は高く、専任の管理者を持たない企業が自前で導入・運用を行うことは厳しい。初期導入だけではなく、セキュリティ機器の導入など、ネットワーク構成の変更、拠点の追加、廃止のたびに設定・構築が必要となり、多くの作業時間と費用が掛かる恐れもある。

 また、ネットワーク障害が発生したらWANが長期間ダウンし、業務に深刻なダメージを与える危険もある。さらに、インターネットを介して通信を行うため、確保できる帯域が不明確になりがちだ。実際、VPNにはトラブルがつきものであり、自力で24時間、365日問題なく運用するのはかなり大変である。このような問題を解決し、容易にVPNを利用できるサービスが「マネージドVPN」だ。

図1 自前でIPsec VPN環境を構築する場合、初期導入から運用に至るまで多くの作業が企業に課せられる。トラブルが発生した場合、兼任の管理者では対応できないことも多い

マネージドVPNの具体的なメリット

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