日本オラクルが連結決算の作業期間を最大で半分に短縮できるというアプリケーション群を発表した。IFRSにも対応し、企業の連結経営管理を支援する。
日本オラクルは7月13日、連結経営管理アプリケーション群「Oracle Hyperion Financial Close Suite」を提供開始すると発表した。連結決算にかかわる複数のアプリケーションをセットにした製品で、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)対応の支援のほか、決算早期化を実現するという。
日本オラクルのEPM/BI事業統括本部長 関屋 剛氏は「連結ベースで、究極の決算早期化を実現する」と話した。同統括本部 ビジネス推進部 部長の箕輪久美子氏は「子会社からのデータ収集を効率化することで、連結決算の作業期間を最大で半分に短縮できる」と説明した。
Close Suiteは連結決算における、子会社からのデータ収集、連結決算処理、リポート、開示の各フェーズを支援するアプリケーションを含んでいる。このうち、データ収集、連結処理、リポーティングの機能を持つのは、国内で100社以上が使っているという「Hyperion Financial Management」。Web入力やOffice Excelシート、ETLによる取り込みなどで子会社のERPから単体決算のデータを収集できる。連結処理は複数の会計基準に対応。日本の会計コンバージェンスなどに対応した「JSK(ジャパン・スターター・キット)」も組み込んでいる。
データ収集の正確性向上は「Hyperion Financial Data Quality Management」が機能を提供する。同アプリケーションはETLツールで、子会社から収集したデータの抽出や変換、検証などが可能。親会社は正確なデータを収集でき、手戻りを避けることができる。IT部門でなく、子会社や親会社の経理部で運用・設定ができるのも特徴。連結データから単体の決算データまでさかのぼって取引を確認する機能もある。これらのデータ収集の効率化、正確性向上によって決算早期化が実現できるという。
また、Close Suiteには日本で初めて登場する「Hyperion Disclosure Management」「Hyperion Financial Close Management」の2製品が含まれる。前者は開示書類作成のアプリケーションで、XBRLによる出力も可能。現状は米国会計基準、IFRSに対応した開示書類に対応するが、今後は日本基準の開示書類についても対応を進める。後者は連結決算の一連のプロセスを管理する製品で、スケジュール管理やタスク管理の機能があり、処理の遅れがある場合はアラートが発せられる。
箕輪氏は「現状の連結決算のプロセスはとても煩雑で時間がかかっている。さらにIFRS対応すると注記情報が増え、そのためのデータ収集が課題となる」と指摘した。その上でこの課題を解決するには「Close Suiteによる包括的な連結決算のマネジメントが必要だ」と強調した。
日本オラクルのコンサルティングサービス統括 インテグレーテッドソリューション推進統括本部 顧問の中澤進氏は、日本企業のIFRS適用について「重いのは連結だ」と指摘した。IFRSは「経済的単一体説」であり、会計基準の統一や期末日の統一が厳しく求められるといい、「IFRSを円滑に導入しようとすると業務オペレーションも変革が必要になる」と話した。
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