XenServer Tips
XenServerで仮想環境を設計するためのポイント ~サーバ統合編
XenServerでサーバ統合を実現する際、設計時に検討すべきポイントを紹介する。システムを構成するCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークといった4つのコンポーネントに分けて解説する。
本稿では、Citrix XenServerでサーバを仮想化してサーバ統合を実現するためのポイントを整理する。まずは設計時に検討すべき重要かつ基本的なポイントにフォーカスした。実際の導入に当たっては、各環境に依存して考慮すべき点が出てくるはずなので、あくまで基本方針として捉えていただきたい。
仮想環境の設計に必要な情報を収集する
リソース消費量の情報を取得
現行の物理環境におけるリソース消費量の統計情報を取得する。どのシステムでどれくらいのリソースを消費しているのか、いつピークを迎えるのかなどを把握しておく。
処理の特徴を把握
各物理環境の処理の特徴を把握する。例えば、CPU演算処理が中心となるサーバ、ネットワークの負荷が高いWebサーバ、ディスクI/Oの負荷が高いファイルサーバ、それらの複合パターンなどを整理しておく。
仮想環境を設計する上でのポイント
全体のポイント
類似の処理を行う仮想マシンが特定のXenServerホストに集中しないよう配慮する。物理サーバ上には仮想マシン分のワークロードが集約されることになるため、特定のリソースにボトルネックが発生しやすくなる。従って、類似の処理を持つ仮想マシンは複数のXenServerホストに分散して稼働させるように意識しておきたい。
CPU
基本的には、現行の各物理環境の平均CPU利用量を基にXenServer上で統合されるシステムの数を決定する。ただし、より正確なサイジングが必要な場合は現行の物理環境でのピーク時におけるクロック(コア数も考慮)消費量を算出し、統合されるシステムの数を決定するのが望ましい。
また、仮想化によるオーバーヘッドとして10%程度余分にみておくことをお勧めする。続いて、これはコストとの相談になるが、XenServerホストの稼働ピーク時で、全体の80%程度の利用量になるのが理想的だと考える。さらに、Xenエンジンおよび制御ドメインへは、上記仮想マシンへの割り当て分とは別に最低1物理コアは利用できるようリソースを準備する。
メモリ
仮想マシンへのメモリ割り当て量は、実際に利用する物理サーバの物理メモリ量から、Xenエンジンおよび制御ドメインが利用するメモリ量を差し引いた分となる。Xenエンジン、制御ドメインに割り当てられるメモリ量として、1Gバイト程度確保しておき、残りの物理メモリで何台の仮想マシンを稼働できるか計算することになる。
また、XenServer 5.6 からメモリのバルーニング機能が実装されており、仮想マシンの集約率を向上させられるようになった。この機能を有効活用してホスト当たりに搭載できる仮想マシン数の最大化を検討してほしい。動的メモリ制御を有効にする方法については「XenServerの動的メモリ制御を有効化する方法」を参照のこと。
ストレージ
XenServerは冗長化されることが望ましいため、内蔵HDDのRAID 1上にインストールすることをお勧めする(SANブートもサポートされるので、要件によっては検討)。内蔵HDDに仮想マシンを配置する場合は、コストパフォーマンスの観点からRAID 5を検討するものいいだろう。また、HAによる可用性が必要なシステムや、大規模なシステムになれば、共有ストレージで構成することになる。XenServerでサポートされる共有ストレージは、NFS、iSCSI、FC(ファイバーチャネル)ストレージである。ここで覚えておきたいのは、HA用のハートビート用リポジトリボリュームには、現時点ではiSCSIもしくはFCが必要となる点だ(仮想マシンはNFS上でも可)。
ネットワーク
XenServerでは16枚の物理NIC(ネットワークインタフェースカード)がサポートされている。適宜、用途に応じてネットワークの分離を行ってほしい。考えるべきネットワークは以下の3種類あり、それぞれを分離することを推奨する(仮想マシン間のみの通信ができる内部ネットワークもあるが、ここでは割愛する)。
仮想環境におけるネットワークの制限に関する記事
・管理用ネットワーク
XenCenterからの接続に利用されるネットワーク。また、XenMotionの際、仮想マシンのメモリのデータ転送などに用いられるため、ギガビットNICをボンディングしておくことを推奨する。
・ストレージ用ネットワーク
ストレージにデータトラフィックを運ぶNICと、管理やサービス用のNICを分けることで、I/Oトラフィック量を確保する。また、障害の切り分けをシンプルにすることができる。
・サービス用ネットワーク
仮想マシンが提供するサービス用のNICを分離することで、サービストラフィック量を確保する。また、同様に障害の切り分けをシンプルにすることができる。
物理インタフェースの冗長化では、Adaptive Load Balancing(負荷分散機能)の技術を採用したボンディングを用いる。XenServer内に実装されている仮想スイッチは、IEEE 802.1Q (VLAN タグ) に準拠しているので、複数のネットワークセグメントからのパケットを1つの物理NICにまとめてひも付けすることができる。
さらに、XenServer 5.6 FP1からは分散仮想スイッチも実装され、従来のLinuxのブリッジと切り替えて利用することができる。
XenServerの仮想アプライアンスとして実装されている仮想スイッチコントローラー(※)で、L2レベルのアクセスコントロール、帯域制御などが可能だ。また、この分散仮想スイッチはOpenFlowに対応しており、現在あるVLANの上限数が取り払えるため、サービス事業者を始め多数のVLANを実装する環境ではぜひ利用を検討してほしい。
(※)分散仮想スイッチモードに変更することは無償版でも可能だが、仮想スイッチコントローラーを使用する場合は、Advanced以上のライセンスが必要
分散仮想スイッチの設定方法は「XenServer 5.6 FP1での分散仮想スイッチの使用方法」を参照してほしい。
XenServer 5.6 FP1に関する記事
物理環境からXenServer仮想アプライアンスへの移行
XenServer環境へのP2V(物理サーバから仮想マシンへの変換)、V2V(別の仮想環境への移行)ツールに「XenConvert」がある。このツールを用いることで、P2V(Windows)、V2V(Windows/Linux)を実行することができる。XenServer上に移行したら、仮想マシンにXenServer Toolsを必ずインストールする。XenConvertについては「Citrix XenConvert Guide 2.3」を参考にしてほしい。
最後に、XenServer 5.6FP1に関するドキュメントがまとまっているWebサイト「XenServer 5.6 FP1」を紹介する。設計の際の参考になれば幸いだ。
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