XenServer 5.6 FP1での分散仮想スイッチの使用方法XenServer Tips

XenServer 5.6 FP1より、Linux Bridgeベースの仮想スイッチから、オープンソースの仮想スイッチ「Open vSwitch」をベースに開発した分散仮想スイッチに変更できる。

2010年12月17日 08時00分 公開
[北瀬公彦,シトリックス・システムズ・ジャパン]
会員登録(無料)が必要です

設定方法

1.XenServer 5.6 FP1がインストールされていることを確認

 XenCenterで対象のXenServerホストをクリックし、「General」タブ ― 「Version Details」でXenServerのバージョンを確認できる。「XenServer Version: 5.6 Feature Pack 1」と表示されていればFP1がインストールされている。

2.対象のXenServerホストにXenCenterで接続し、コンソールに接続

 SSHクライアントやサーバのコンソールを使ってもよい。

3.仮想スイッチのソフトウェアを確認する

[root@xs207 /]# xe    host-list params=software-version
	
software-version(MRO): product_version: 5.6.90;product_brand: XenServer; build_number:
37611p; hg_id:;hostname: cheesy-2;date: 2010-09-23; dbv: 2010.0521; xapi: 1.3;
xen: 3.4.2; linux: 2.6.32.12-0.7.1.xs5.6.90.230.170558xen;xencenter_min: 1.8;
xencenter_max: 1.8; network_backend:openvswitch;xs:main: 
Base Pack, version 5.6.90, build 37620p; xs:xenserver-transfer-vm: 
XenServerTransfer VM,version 5.6.90, build 37611p

 network_backend: openvswitchであれば分散仮想スイッチを使用している。

 network_backend: Linux bridgeであればLinux Bridgeを使用している。

4.仮想スイッチを分散仮想スイッチモードにする

[root@xs207 /]# xe-switch-network-backend openvswitch

 仮想スイッチをLinux Bridgeモードに戻す場合は、「xe-switch-network-backend bridge」。

5.XenServerの再起動

解説

 仮想スイッチを変更することで下記の機能が使える。それによって、クラウドのマルチテナント環境などにおいて、仮想的なレイヤー2(L2)スイッチ機能を容易に提供できるようになる。

  • Cross Server Private Network:複数のXenServerホスト上で起動している仮想マシンが共通のプライベートネットワークを使用できる
  • Jumbo Frame:仮想スイッチにvSwitchを使用すると、SAN(ストレージエリアネットワーク)で、大きなサイズのフレームで送受信を可能にするJumbo Frameの設定ができる

 さらに、別途仮想スイッチコントローラー(仮想アプライアンス)を設定すると下記の機能も使える。

  • ACL(Access Control List)の設定:リソースプール、XenServerホスト、ネットワーク、仮想マシン、仮想NIC単位で、ACLを設定できる
  • QoS(Quality of Service)の設定:帯域幅やバーストサイズの制限が可能
  • RSPAN(Remote Switched Port Analyzer)の設定:特定のVLANに対して、パケットキャプチャリングを目的に、ネットワークトラフィックのミラーリングが可能

 分散仮想スイッチモードに変更することは無償版でも可能だが、分散仮想スイッチコントローラーを使用して、ACLの設定やRSPANなどの機能を使用する場合にはAdvanced Editionのライセンスが必要になる。分散スイッチコントローラーは、仮想アプライアンスで提供されている。シトリックス・システムズ・ジャパンのWebサイトからダウンロード可能である。

 Jumboフレームの設定やCross Server Private Networkなどの機能は、分散仮想スイッチモードで対応するので注意してほしい。

北瀬公彦(きたせ きみひこ)

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部所属

画像

XenServer、XenClient、XenDesktop、Receiverなどの製品マーケティング、また、アライアンスマーケティングで、Citrixの製品に対応したい場合の技術対応なども行っている。


仮想化技術全般のwikiサイト

Twitter(@kkitase)

The Citrix Blog「Blogs for Kimihiko Kitase」


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化を巡るIT業界の混乱に終止符を打つ、仮想化基盤モダナイズへの道筋とは

IT業界では「仮想化」にまつわる混乱が続いており、企業は現状の仮想化環境の再考を迫られている。そこで、仮想化環境の移行先として、また、加速するビジネス環境に対応したプラットフォームとしても適した解決策を紹介する。

製品レビュー SB C&S株式会社

VMware買収後の仮想環境はどう見直す? 知っておきたい3つの選択肢を解説

BroadcomによるVMwareの買収により、VMware製品のライセンス体系は大きく刷新された。永続ライセンスの廃止やエディションでの提供といった変更がある中で、自社はどのように仮想基盤を見直していけばよいのか。そのヒントを紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

VMwareによる仮想化環境からの移行を簡素化する方法とは?

IT環境の多様化・複雑化に、VMware買収の話が加わって、組織のIT担当者の悩みは増える一方だ。このような状況において、管理運用の簡素化とリスクの軽減をどのように実現すればよいだろうか。

技術文書・技術解説 ニュータニックス・ジャパン合同会社

仮想化環境の移行をもっと簡単に、知っておくべき「6つのステップ」とは?

仮想化環境の移行を考える際は、「現環境と同じ機能が移行先でも利用できるのか」「ライセンス管理の負担は軽減できるのか」など、さまざまな検討事項が生じる。これらを解決し、簡単に移行を実現するための6つのステップを紹介する。

市場調査・トレンド ニュータニックス・ジャパン合同会社

「VMware買収後」の仮想化戦略 企業はどのように対処すべきか

BroadcomはVMware買収後、製品ポートフォリオやライセンス体系に大きな変更を加えた。ユーザー企業はこの変化にどのように対処し、今後のIT戦略、仮想化戦略を検討、構築していけばよいか。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...