M2Mクラウドなど、ビッグデータ時代を想定した製品展開が充実してきたNECが販売体制を強化。新製品の発表と合わせ、部門横断でソリューション提案を進める。大手製造業や流通業界の眠れるデータを掘り起こし、付加価値サービスの提供を目指す。
NECは2012年2月13日、いわゆる「ビッグデータ」に対応したデータベースソフトウェア「InfoFrame Relational Store」を発表した。従来のリレーショナルデータベースでは、再設計が必要だったシステムのスケールアウトが容易になり、かつ、アプリケーション側のSQLクエリを継承できるという。また、インメモリキャッシュを利用したシステム高速化の懸念点であった信頼性の問題を独自の実装でカバーしており、高い信頼性を求められるシステムにも適用できる点が強みだとしている。ストレージやサーバは任意にスケールアウトできるため、最小構成のスタートアップで済む点も利点。価格は510万円から(ハードウェア、システム構築費用は別)で、2012年4月出荷を予定している。
同製品は、ストレージ側ではキーバリュー型でデータを保持するが、クエリとしてはSQL98を受け付ける。このため、既存のリレーショナルデータベースを前提としたアプリケーションの大半を、そのままの実装でInfoFrame Relational Storeに移植できるとしている。同製品の一部はオープンソースソフトウェアの成果を活用しているが、いずれも同社が独自に信頼性を高めたものになっているという。
具体的には、ビッグデータ対応のソフトウェア類は商用・非商用ともに多数あるが、今回発表された製品では、キャッシュサーバ(トランザクションサーバ)のデータそのものに信頼性を付与している点が特徴。
通常のメモリキャッシュとキーバリューストアとの組み合わせでは、メモリキャッシュ側にあるデータの信頼性は保証されない実装であることが多い。このため、メモリキャッシュとキーバリューストアとの組み合わせは、SNSに代表されるWebベースのコンシューマサービスのように、多少のエラーやロールバックが許容できるような、あくまでも非クリティカルな領域での適用が主だった。
キーバリューストアへのクエリは、通常のSQLとは異なる構成のため、専門知識のある技術者が開発する必要があったが、今回の製品ではSQL89の仕様に準拠したクエリを受け付けるため、既存アプリケーションの移植が容易で、新規開発の場合でもコストが低く済むのが特徴。
同製品では、NEC北米研究所が開発したMicroSharding(マイクロシャーディング)技術を採用しており、複数データをメモリ上で処理することでトランザクションそのものを高速化している。加えて、揮発性であるメモリ上のデータを冗長化することで信頼性を高めている。
NECでは2012年4月から、ビッグデータを扱うソリューション提案活動を本格化させる予定。まず、同社プラットフォームマーケティング戦略本部の下に「ビッグデータ戦略プロジェクト」を立ち上げ、業種・業界ごとのエキスパートを適宜プロジェクトに参加させる体制を構築する。2014年までに、各業界へのシステム導入を熟知したエキスパートやデータ分析技術の専門家を200人程度育成するとしている。
同社では既にM2Mサービス基盤「CONNEXIVE」や、その情報を基にした分析基盤「InfoFrame」を提供している。今後はこれらに加え、同社の画像解析技術、データマイニング技術などとも組み合わせ、より広い分野に向けてソリューション提案を進めるとしている。想定している対象領域は、通信、エネルギー、交通、農業などのほか、製造業、流通などの業界。
今回の製品および新体制の発表について、同社執行役員常務 山元正人氏は「既にスマートグリッドなどの実証実験には参画しており、また、企業からのニーズも多く寄せられている。特に自社に眠っているデータを活用した他業種・サービスとの水平展開を検討している企業が多い。直近では日本企業を対象とした提案を進めるが、海外でも要望があれば何らかの形で提供していく」としている。
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