全てを本社で管理する欧米企業型のグローバル化ではなく、日本企業に適したグローバル化とは何か。アステラス製薬はIT組織のグローバル化を通じてその答えを探した。同社が実践する“3兄弟”によるIT組織管理とは。
アステラス製薬のコーポレートIT部 部長 須田真也氏は5月28日、ガートナー ジャパンのイベントで講演し、IT組織のグローバル対応について説明した。企業の生産や調達、販売がグローバルに拡大する中で、IT部門も対応が求められる。須田氏はIT部門の日本的なグローバル展開を訴えた。
アステラス製薬は、旧山之内製薬と旧藤沢薬品工業が合併して2005年に生まれた製薬企業。従業員は世界で1万6000人以上。ITシステムのユーザー数では2万ユーザー以上になる。同社は、旧山之内製薬が欧州に強みを持ち、旧藤沢薬品工業が北米に展開をしていたことから、合併後はグローバル展開を積極的に進めている。世界40カ国以上で製品を販売。それに伴ってIT組織のグローバル化も求められていた。
IT組織でグローバル化を担ってきたのが須田氏だ。須田氏は旧山之内製薬時代の1997年、人材交流の一環として欧州本社があったオランダに赴任した。そこで考えたのは「日本人として現地で何ができるか」ということ。欧米企業をはじめ、多くのグローバル企業では本社にITの企画や運用を統合し、現地拠点は単なる監視対象となることが多い。赴任者は現地の情報を収集し、本社にリポートするのが仕事だ。須田氏は現地で、複数の日系企業で働いたことがある英国人から「前職では日本人をポリスと呼んでいた」と聞いたエピソードを紹介した。
しかし、旧山之内製薬では「ポリス的な仕事ではなく、現場で実務担当として深く入る」ことが赴任者に求められた。須田氏もこれに応え、「現地のIT企業とやりとりもしてきた」。須田氏はその上で「情報収集しようとしても情報は得られず、情報共有をすることで情報は得られる。日本企業にとってのグローバル化は欧米企業のグローバル化とは異なる。日本人としてグローバル化で何ができるかを考えてきた」と話した。
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