MicrosoftのYammer買収は何を意味するのか狙いはSharePointとDynamicsのソーシャル機能か?

MicrosoftのYammer買収は、SharePoin Serverの利便性向上、Salesforce.com対抗、Google Docs対抗などさまざまな意味を持つ。Microsoftはソーシャル対応を加速できるか。

2012年07月17日 09時00分 公開
[James Furbush,TechTarget]

この記事は米Microsoftが米Yammerの買収を正式発表する前の2012年5月15日(米国時間)に米TechTargetに掲載された記事を翻訳したものです。

 米Microsoftが企業向けソーシャルサービスを手掛ける米Yammerを12億ドルで買収するとの臆測が流れている(※)。Microsoftの狙いは同社のコラボレーションプラットフォームのSharePoint Serverや他のレガシーツールの補強だ。

(※)2012年6月25日(現地時間)、MicrosoftはYammerの買収を正式発表している。

 IT業界の多くの専門家が、この買収は完全に理にかなっていると考えている。

 Yammerのソーシャルメディアツールは、優れたソーシャルネットワーキング機能や社外コラボレーション機能をもたらすという点で、MicrosoftのSharePoint Serverにとって大きなプラスになるだろうと、独立系調査会社の米Directions on Microsoftでリサーチ担当副社長を務めるロバート・ヘルム氏は語った。

 「ソーシャルネットワーキングや社外コラボレーションは、SharePoint Serverが対応し始めている分野だが、もう少し早く対応が進むことが望ましい」(ヘルム氏)

 SharePoint Serverはソーシャルネットワーキング機能も提供しているが、ほとんどの企業に使われていないというのが業界ウオッチャーの見方だ。

 一方、Yammerはよく「企業向けのFacebookやTwitter」といわれる。コラボレーション機能(チャットや、情報を投稿したり共有するためのウォールなど)の多くが、これらのソーシャルネットワークで提供される機能と似ているからだ。

 「SharePoint Serverが今後も有用であるためには、Yammerのようなツールが必要だろう」と、米Alure Home Improvementの技術・通信担当ディレクター、ジョン・ドイル氏は語る。住宅リフォームを手掛ける同社はYammerのユーザーだ。

 ヘルム氏は、ソーシャルコラボレーション機能について見ると、SharePoint Serverに対するYammerの強みは、「クラウド対応」と「既にSharePoint Serverを共用している顧客が多いこと」だと指摘した。

 Yammerは、2012年第1四半期時点で、Fortune 500社のうち85%の企業の社員を含む500万人の顧客を抱えるとしている。しかし、有料版を使っている顧客は全体の20%程度にとどまり、その他の顧客は無料版を使っている。

 だが、MicrosoftのYammer買収のメリットを全てのIT担当者が納得しているわけではない。

 「MicrosoftがYammerを買収しても、SharePoint Serverで使われていない機能が強化されるだけではないか」と、原子力発電保険会社の米American Nuclear Insurersで情報サービス担当副社長を務めるダン・アンション氏は語る。同氏は、SharePoint Serverをドキュメント管理に幅広く利用しているが、他の用途にはあまり利用していない。「ソーシャルでは、やはり人と人が顔を合わせてコミュニケーションを取ることが大事だ」

 前述のAlure Home Improvementは、各現場への社員の配置をリアルタイムに調整するのに電子メールを利用していたが、今ではその代わりにYammerの有料版を使っている。

 「MicrosoftがSharePoint ServerプラットフォームをYammerのシステム要件に追加しないことを願っている」(Alureのドイル氏)

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