OSの移行先としてほぼ唯一の選択肢だったWindows 7だが、2012年10月26日にWindows 8が登場した。企業はこの新しいOSをどのように受け止めればよいのだろうか。
2014年4月のWindows XPサポート期間終了まで、いよいよ残り1年半を切った。サポートが切れたOSを使い続けることで企業が抱え込むリスクについては、あらためて述べるまでもないだろう。
ガートナージャパンが606社を対象に行った「ITデマンド調査」によると、2011年11月時点で「移行開始済み」と答えた企業は39.9%。「2012年中に移行する」という企業も23.8%を数え、既に多くの企業がWindows 7への移行に向けて動き始めている。
しかし、まだ半数以上の企業が移行できていない中、2012年10月26日にWindows 8が登場したことで選択肢が増えた。コンシューマー市場では大きな注目を集めているWindows 8だが、企業がWindows XPの次のクライアントOSとして使う場合、選択候補としてどのように捉えるべきなのだろうか? ガートナージャパン リサーチ ITインフラストラクチャ クライアント・プラットフォーム シニアアナリストの針生恵理氏に話を聞いた。
針生氏は「まず結論から言うと、ガートナーではWindows XPの移行先として選択すべきはWindows 7と推奨している」と話す。最大の理由は「Windows XPサポート切れまでに残された時間の制約」だ。
「Windows 8はまだリリースされたばかりのOSなので、アプリケーションベンダーや周辺機器ベンダーが本格的に対応するのはこれから。企業のクライアントOSとして安定して使えるようになるのは2013年後半からになるだろう。そこからあらためてWindows XPから移行対象とするには、2014年4月のサポート切れ期限までに実作業が間に合わない可能性が高い」。ガートナーでは「グローバルの全企業において、約9割はWindows 8への移行を見送るだろうと予測している」という。
また、既にWindows 7への移行プロジェクトを立ち上げている企業にとって、あらためてWindows 8への移行を検討するのは二度手間になり、残された時間を考えると現実的ではない。従って、「結果的にWindows XPユーザー企業のほとんどはWindows 7への移行を選択するだろうし、実際そうすべきだ」と針生氏は述べる。
Windows 7のビジネス用途におけるメリットも大きい。「Windows 7はリリースされてから時間が経過しており、OSとして高い安定性を持っている他、ソフトウェア/ハードウェアベンダーの対応やサポート体制も進んでいる。Windows 7対応アプリケーションの開発やサポートに関する技術者も充実している。そうしたエコシステムや技術ノウハウの蓄積という面においても、安定したOSといえる」
「クライアントPCのOS」としてはWindows 8の採用が一部にとどまる一方、「企業向けモバイル端末のOS」としてのWindows 8には市場の関心も高いという。
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