IT部門を介さず、事業部門が勝手にクラウドを利用する例が後を絶たない。安全性も可用性も知らずにクラウドを業務利用する状況は、企業にとって大きな脅威となる。
IT部門は数年前なら「クラウドコンピューティングは、すぐに消えてなくなる一時の熱狂にすぎない」と言い切ることができた。だが、そう豪語することは年々難しくなっている。
パブリッククラウドへの投資が縮小していないのは確かだ。米調査会社Gartnerの予想では、現在1090億ドルであるパブリッククラウドの市場規模は、2016年には2070億ドルにまで膨れ上がるという。
またGartnerは、2017年にはCIO(最高情報責任者)よりもCMO(最高マーケティング責任者)のIT投資額の方が高くなると予想している。人気のあるパブリッククラウドとしては、顧客関係管理(CRM)サービスを提供する米salesforce.comや給与管理サービスを提供する米Workdayなど、昔ながらのSaaSが上位を占める。
米Verizonのマネージドホスティング/クラウドサービスプロバイダー部門であるTerremarkでクラウド製品担当副社長を務めるエレン・ルービン氏によると、IT部門が把握していないIT導入事例は枚挙にいとまがないという。こうしたITは、「影のIT(シャドーIT)」と呼ばれることがある(参考:今後利用したいSaaS/ASP、「仮想デスクトップ」が2位)。
「IT部門と事業部門のIT担当者の会議に何度か同席したことがある。そのような会議では、事業部門の担当者が、既にクラウドを導入している事実を隠そうとするといった奇妙なやりとりがある」とルービン氏は話す。
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