BI製品紹介:TIBCO Spotfire 5.0
米TIBCO製品担当が語る、セルフサービスBI選びの本当の鍵
エンドユーザーが任意の視点で分析できるセルフサービスBI市場が活況を呈している。競合がひしめく中、5月24日に新製品「TIBCO Spotfire 5.0」を発表したTIBCO Softwareでは何で差別化を図るのか? 米国本社の製品担当に聞いた。
業務部門のエンドユーザー自身が自由な観点でデータを分析できるセルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)のニーズが高まっている。米Gartnerの調査でも2013年のBIソフトウェアの売上高はグローバルで138億ドルに達すると予想。国内でもクリックテック・ジャパン、ウイングアーク、Tableau Software、SAPジャパン、日本オラクルなど複数のベンダーが製品をリリースしている。
こうした中、2013年5月24日、TIBCO softwareが分析プラットフォーム製品の最新版「TIBCO Spotfire 5.0」(以下、Spotfire)を発表した。競合製品も多い中、同社はどのような点を強みとして打ち出していくのか。製品発表に合わせて来日した米TIBCO Softwareプロダクトマネジメント シニアディレクターのルイス・ベイジュック・ヨーガン(Louis Bajuk-Yorgan)氏にBIに寄せられている企業ニーズと製品のポイントを聞いた。
リッチなダッシュボードに惑わされてはいけない
「従来、BIを使う上では分析したいデータや、分析したい観点を明確化した上で、リポートやダッシュボードの構築をIT部門に依頼しなければならなかった。知りたいこと、見つけたいことがあっても時間がかかり、なかなか回答を得ることができない。結局、ユーザーはMicrosoft Excel(以下、Excel)にデータを取り込んで自分で分析してしまう。エンドユーザーが自由な観点でデータを可視化、分析できるBI製品の市場が伸びている背景にはエンドユーザーの強いフラストレーションがあるといえるだろう」
ヨーガン氏はセルフサービスBI製品が注目される理由をこのように概観する。ただ、ニーズが高まっているもう1つの要因として、データを管理しなければならない企業側、IT部門側のフラストレーションも挙げる。「BIではタイムリーに分析できない」として、エンドユーザーがExcelで分析する習慣ができてしまうと、データガバナンスに問題が生じるためだ。
加えて、Excelは基本的に個人での使用を前提としたツール。各エンドユーザーがExcelを使うとデータが社内に散在、重複する原因になる他、ファイルサーバなどを使って共有したとしても、多数の従業員で1つのファイルを共有しながら変更履歴を正確に管理することは難しく、データの正確性を担保できない。
「つまり従来型のBIツールには、エンドユーザーと企業側、双方のフラストレーションがたまっている。従って、今BIに求められているものは、エンドユーザーがあらゆるデータをスピーディかつ柔軟に分析できることだけではない。どのデータをエンドユーザーに公開するのか、IT部門側がデータの供給、展開を確実に統制しながら、エンドユーザーのための分析プラットフォームを提供することが求められている」
また、分析の取り組みを組織に定着させる上では、大量データをスピーディに処理できるパフォーマンスと、多くのユーザーの同時使用に耐えられるスケーラビリティ、より多くのデータソースとの接続できることもポイントになるという。
ヨーガン氏は、「この分野ではリッチなダッシュボード機能に軸足を置いた製品が多い。その点に着目すると一見、大差はないように見えるかもしれない。だが本当に重要なのはIT部門が確実にデータを統制できることと、エンドユーザーが使いたいときに、使いたいデータソースを使って安全かつ柔軟、スピーディに分析できることだ」と述べ、製品選択の1つの手掛かりを示唆する。
ポイントは確実なデータ管理と、スピード、スケーラビリティ
Spotfireは以上の考えを基に開発した製品。企業内に散在する各種データソースや業務アプリケーションデータを、エンドユーザー自身がクライアントPC上で任意の視点から分析できる。データをクライアントPCのメモリ上に展開、処理することで、スピーディに分析できる点を特徴とし、事前に定義されたビューや集計に左右されず、ユーザー自身が棒グラフや円グラフ、チャートなど、さまざまなビジュアルを設定して、探索的に各種データを分析したりドリルダウンしたりすることができる。データを確実に管理できるよう、Spotfireの設定・統合・運用をコントロールし、扱うデータやユーザーディレクトリ、認証などを一元管理できる「TIBCO Spotfire Server」も併せて用意している。
今回発表した5.0では以上の基本機能をブラッシュアップ。2012年5月に発表した「Spotfire 4.0」から大幅な機能強化を果たしたという。1つはインメモリエンジンをアーキテクチャレベルから見直したこと。具体的には億単位のレコードもクライアントPCでスピーディに処理可能とした。
データ量が増えてもパフォーマンスが落ちない点がポイントで、例えば1億レコード、容量でいえば数ギガバイトのデータを扱う場合、4.0の10分の1の時間で処理できる。「4.0まではインメモリエンジンを.NET FrameworkとC#を使って開発してきたが、5.0ではよりパフォーマンスを出しやすいC++で開発した1つの成果だ」という。
より大量のデータをスピーディに分析できるよう、インデータベース機能も搭載した。Spotfire 5.0を搭載したクライアントPCから外部データベースにクエリ要求を行うと、クエリ処理/演算をデータベース内で行い、クライアントPC上での分析、描画に必要なサマリーデータだけをクライアントPCに返す。これにより「クライアントPCのメモリ上だけでは処理できない大量のデータを、ネットワーク負荷の問題を避けながら、クライアントPCのメモリ上で処理しているのと同じ感覚で迅速に分析できる」。
接続可能なデータベースはTeradata、Oracle、Microsoft SQL Server。また、Microsoft SQL Server Analysis Servicesキューブのデータを探索的に視覚化、分析することもできる。ヨーガン氏は「より多くのデータソースとの接続性の良さがBIの1つの鍵。米国で発表済みのバージョン5.5では20のデータベースに対応している。日本国内でも近く展開する予定だ」とコメントする。
多数のユーザーが同時に使用しても分析のパフォーマンスを維持できるよう、プライベートクラウド管理ツール「TIBCO Silver Fabric」との連携も実現した。TIBCO Silver Fabricはセルフサービスポータルを通じて各アプリケーションのデプロイを管理するとともに、各アプリケーションの稼働状況に応じてコンピューティングリソースを自動的に割り当てる製品。これによりSpotfire 5.0のWebインタフェース、「TIBCO Spotfire Web Player」にエンドユーザーのアクセスが集中しても一定のパフォーマンスを堅持できるという。
「R」を分析の知見を持つ人材、業務の知見を持つ人材の共通基盤に
今回のもう1つのトピックは、予測分析機能としてオープンソースの統計解析言語「R」の実行環境「TIBCO Enterprise Runtime for R」を用意したことだ。エンタープライズ用途に耐える信頼性とスケーラビリティを担保し、ビジネスにおいてRをより効果的に活用しやすい環境が整うという。
「例えば、企業がRを分析アプリケーションとして使う場合、信頼性を担保するために、Rの知識・スキルを持ったアナリストが分析アプリケーションのプロトタイプを作って機能を検証した上で、他の言語を使って構築し直す例が多い。だがTIBCO Enterprise Runtime for Rを使えば他の言語で構築し直す必要がないため、プロトタイプ構築から本稼働までの時間を大幅に短縮できる」
また、TIBCO Enterprise Runtime for Rでは、Rを使った分析アプリケーションをGUIで操作できる機能も実装した。アナリストが作った分析アプリケーションを組織内で共有したり、業務アプリケーションに統合したりすることも可能だ。
これにより、Rの知識を持たないエンドユーザーが、業務アプリケーションの1機能として、裏でRが動いていることを意識せずに、業務データを基に予測分析ができる環境が整うという。
「Rは予測分析ツールとして非常に有効だが、使えるユーザーが限られていたり、分析アプリケーションを作っても組織内で共有できず、開発者のハードディスクの中に眠らせてしまったりしている例も多い。だがSpotfireではRも含めて組織内で共有し、まさしくエンドユーザー自身が日常的にインサイトを発見できる環境が整う」
ヨーガン氏はこう解説した上で、「組織に分析活動を定着させるためには、単に扱いやすいツールを用意するだけでは十分ではない」と指摘する。
「一般に、分析という行為を組織に根付かせるためには、エンドユーザーの間で分析を日常化することが鍵とされている。ただ企業にとっては、単に扱いやすいツールを用意するのではなく、一定のデータガバナンスの下で、分析スキルを持つ人材、ビジネスの知見を持つ人材が、それぞれのナレッジ、スキルを確実かつタイムリーに共有、活用できる“プラットフォーム”を構築することが重要なのではないだろうか」
Spotfireはグローバルでは1100社、日本国内では中堅~大企業を中心とする120社の企業が導入。その中には東芝、ソニー、富士フイルムといった大手メーカーも含まれる。ヨーガン氏は、「インサイトを発見する力、予測する力、多数のユーザーを支えるスケールする力の3つを武器に、より多くの企業にTIBCO Softwareが考えるデータ活用の在り方を提案していきたい」と話している。
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