業務システムのパフォーマンス向上策として、BI製品「Dr.Sum EA」を導入した伊藤久右衛門。選定の背景には、情報システム責任者の前職での成功経験があったという。
1832年に京都で創業した宇治茶専門店の伊藤久右衛門が、ビジネスインテリジェンス(BI)製品を導入した。BI製品導入の背景は何か。製品選定の理由は。ウイングアークが2012年11月に開催した年次イベント「ウイングアーク・フォーラム2012」で講演した、伊藤久右衛門 経営企画部部長である広瀬穣治氏の話を基に解説する。広瀬氏は、同社情報システムの責任者である。
京都・宇治に直営店2店舗を構え、ECサイトやカタログによる通信販売も手掛ける伊藤久右衛門。同社がBI製品を導入した最大の目的は、単一システムに負荷が集中する状況を変えることだった。
伊藤久右衛門は、ECサイトの受注処理や在庫計算に加え、データ集計、スケジュール管理まで、ファイルメーカーのデータベースソフトウェア「FileMaker」で開発した基幹系システムで処理していた。「あらゆる業務処理を基幹系システムが一手に担っていたことから、さまざまな悪影響が表れていた」と、広瀬氏は明かす。
特にパフォーマンスへの影響は大きく、「見たいデータを表示するだけで1時間以上かかることも珍しくなかった」。さらに、単一システムに多くの業務機能を盛り込んだことでシステムが複雑化し、「データを取得したいと思っても、システムに精通した特定の担当者しか抽出できない」事態に陥っていた。
こうした課題を解決するため、システム刷新を決断。営業分析や在庫計算といった業務機能を基幹系システムから切り出し、ウイングアークのBI製品「Dr.Sum EA」を中心とした新規構築の分析集計システムへ移行した。基幹系システムは、注文データの取り込みや受注出荷処理といった本来の基幹業務のみを残し、既存システムを継続運用することを決めた。
「繁忙期に3、4時間かかっていた在庫計算の時間を1時間に短縮できた」など、システム刷新によりパフォーマンスは大幅に改善。「入出庫処理の遅延が解消されて機会損失が減ったり、アプローチ対象の顧客リストを迅速に作成でき、販売促進活動が活発化するといった効果もあった」。システム運用は、Dr.Sum EAを含む分析集計システムに1人、基幹系システムに1人の担当者を割り当てている。
データ分析が容易になった結果、従業員が積極的にデータ分析をするようになったことも、分析集計システムの導入の効果だと広瀬氏は語る。その象徴的な出来事が、購買履歴を基に顧客のセグメンテーションなどをする顧客分析手法「RFM分析」の開始だ。データ分析に慣れた現場の従業員から、「RFM分析をしたい」という声が上がってきたという。従来は、従業員がデータを分析したいと思っても、「システム負荷が気になり、『分析したい』とシステム担当に言い出すのが難しい雰囲気があった」。
数あるBI製品の中から、伊藤久右衛門がDr.Sum EAを選定した理由は何か。広瀬氏は、「前職でDr.Sum EAを導入して得た成功体験を再現したかった」と明かす。
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