OpenStack連携で既存システムのクラウド移行を支援、ストラタスNEWS

日本ストラタステクノロジーが「Software Defined Availability」構想や同社初となるクラウド環境向けソフトウェアを発表。OpenStackベースの新製品の提供により、クラウド環境への移行も支援する。

2013年11月13日 17時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 日本ストラタステクノロジー(以下、ストラタス)は2013年11月12日、同社の事業戦略を発表した。ITインフラ/業務アプリケーションの可用性をソフトウェアで制御するという「SDA(Software Defined Availability)」構想に基づいた製品や、クラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」をベースとした新製品を提供する。

クラウド環境における業界標準の地位を確立

photo ストラタス 飯田氏

 1980年に設立された米Stratus Technologiesは、業務システムの停止が日常生活に影響を及ぼすことを防ぐ“Always-On”をコンセプトに、システム停止を回避する製品やサービスを展開してきた。現在、メインフレーム時代からの実績を持つ独自OS「Stratus Open VOS」や無停止型IAサーバ/ストレージ製品群「Stratus ftServerシリーズ」、仮想化ソフトウェア「Stratus Avance」、同社が2012年に買収した米Marathon Technologiesの高可用性ソフトウェア「everRun MX」などを開発、販売している。

 ストラタスの代表取締役社長 兼 アジアパシフィック プレジデントである飯田晴祥氏は「2014年度第2四半期までの12カ月間における地域別売上では、日本市場が全体の26%を占める。業種別では、金融や製造、小売り、ヘルスケアなどが中心になっている」と自社の現状を説明する。その上で「今後はクラウド環境でも利用できる無停止型製品/サービスを提供することで、業界標準(デフェクトスタンダード)の地位を確立したい」と語る(図1)。

photo 図1 ストラタスの事業戦略

“Always-On”をソフトウェアで実現するSDA

photo 米Stratus Techonologies ダッソー氏

 Stratus Technologiesの副社長 兼 Chief Marketing Officerであるナイジェル・ダッソー氏は「仮想化技術をベースにするクラウド環境へとITプラットフォームが進化したことで、インフラのみならずその上で稼働する業務アプリケーションの可用性を適正化することが求められている」と説明する。こうしたニーズに応える手段がSDAだ。

 SDAとは、システム停止の防止や復旧の要否をハードウェアレベルではなくソフトウェアレベルで判断し、インフラおよび業務アプリケーション(ワークロード)の可用性向上を支援することを目的とした構想だ。具体的には、組織のポリシーに基づき、仮想マシンごとの可用性レベルを必要に応じて柔軟に変更できるようにする。

SDAの第一弾製品「everRun Enterprise」

 ストラタスはSDAに基づく製品の第1弾として、2014年第1四半期に「everRun Enterprise」を提供する予定だ。everRun EnterpriseにはStratus Avance、everRun MXなどが組み込まれており、事業継続性やデータ整合性などを確保する機能、システムやアプリケーションなどを統合監視するサービス機能などで構成される(図2)。

photo 図2 everRun Enterpriseの構成イメージ

 ストラタスの常務執行役員 兼 ソリューションサービス事業本部長である太田安信氏は「既存のアプリケーションを変更することなく導入でき、WindowsとLinuxが混在する仮想化環境の可用性を向上させることもできる」とメリットを説明する。

SDNとの連携で既存システムのクラウド移行を促進

photo ストラタスの大田氏

 また、今後進むと考えられる基幹システムのクラウド化について、太田氏は「既存の業務アプリケーションを一気にクラウド化することは困難。オンプレミス、パブリック/プライベートクラウドなどが連携して段階的にシステムを移行することになる。その一方で、クラウドの恩恵を享受しつつ、コストを抑えつつベンダーロックインを避けたいというのが多くの企業が抱える課題」と指摘する。

 ストラタスはそうした課題の解決方法として、OpenStackをベースとするソフトウェアを2014年第2四半期に提供する予定だ。この製品は、プラットフォームの管理コントロール層、クラウド環境上で稼働する業務アプリケーション(ワークロード)層の可用性を向上させるという。

 太田氏は「OpenStackと組み合わせることで、柔軟かつセキュアなクラウド環境の構築を支援する。クラウド環境ではシステムの高可用性とともにセキュアかつ柔軟なネットワークが求められている。そこでボトルネックとなるのが、ミッションクリティカルな要件を満たすネットワークにある」と説明する。

photo ACCESS 楢崎氏

 ストラタスは2013年4月、「Software Defined Network」(SDN)によるネットワーク仮想化製品群を提供するACCESSとの協業を発表している。ACCESSの取締役副社長執行役員 兼 最高執行責任者(COO)である楢崎浩一氏は「SDNが今後多くの企業で採用されるためには、SDAと連携した信頼性のあるクラウド基盤を提供することが重要だ」と両社の協業の意義を説明する。

 両社は今後、ACCESSの子会社であるストラトスフィアが開発したSDN製品群「ACCESS SDN Solutions」とストラタスの製品を連携させることで、企業における本格的なクラウド活用や、基幹業務アプリケーションの書き換えなしでのクラウド環境への移行を支援していく(図3)。

photo 図3 ストラタスとACCESSとの連携イメージ

 ストラタスは既にパートナー企業向けにOpenStack対応ソフトウェアのβ版を提供している(同社のWebサイトから申し込み可能)。

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