PCIe SSD vs. オールフラッシュアレイ──サーバサイドSSDの用途とは?サーバサイドSSD標準仕様解説

ネットワークでストレージを共有するオールフラッシュアレイが注目される一方、PCIeスロットに直接SSDを実装するサーバサイドSSD(PCIe SSD)が見直されつつある。関連技術とサーバサイドSSDの使いドコロを解説する。

2015年12月11日 08時00分 公開
[Bryan BettsComputer Weekly]
Computer Weekly

 最近、パフォーマンスの点でオールフラッシュアレイが注目を集めている。だが、フラッシュベースのストレージが重要な役割を果たすのは、アプリケーションのパフォーマンス(特にハイパースケールコンピューティング)の向上に限ったことではない。

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 フラッシュの活用方法の1つに、PCI Express(PCIe)スロットに取り付けるサーバサイドSSDがある。サーバサイドSSDは、ローカルストレージやサーバキャッシュとして機能する。ローカルストレージとして使用すれば、オールフラッシュアレイ型共有ストレージに求められる要件の一部を担うことができる。また、サーバキャッシュとして使用すれば、ネットワークストレージやサーバのメインメモリを補強できる。

 PCIe SSDをサーバのローカルストレージに利用するメリットは複数ある。同容量のオールフラッシュアレイよりも安価なのはもちろん、ホストバスアダプター(HBA)が不要で、HBAによる遅延が生じないだけでなく、ネットワーク接続に伴うオーバーヘッドも発生しない。そのため、遅延がミリ秒単位からマイクロ秒単位に減少する。同時に、HDDにはないSSDのメリットを全て利用できる。例えば、消費電力、発熱、振動が減り、堅牢性や記憶密度は高くなる。

 現在のSSDの大半はフラッシュがベースだが、正確には不揮発性メモリ(NVM:Non-Volatile Memory)をベースにしているというべきだろう。フラッシュ以外にも、使用時や開発時のパフォーマンス向上に非常に優れた効果を発揮するさまざまな種類のメモリがあるからだ。

 サーバにSSDを取り付ける場合の問題は、DAS(Direct Attached Storage)の場合と変わらない。

ソフトウェア定義ストレージ

 ソフトウェア定義ストレージのツールを使用し、ローカルストレージを抽象化してネットワーク全体にプールするなど、ディスク共有ソフトウェアの専門家を目指すつもりがないのなら、ホストサーバで利用できるのはローカルストレージしかない。だが、ネットワークの共有ストレージよりもローカルSSDを使用する方が便利でコスト効率に優れるユースケース(ハイパースケールコンピューティングなど)は出現し始めている。

 オールフラッシュアレイなどの共有ストレージの大きなメリットは、接続している全てのシステムが利用できることだ。また、共有ストレージが好まれる理由として、DASは一般的に、将来の成長を見込んで過剰にプロビジョニングされることがある。IT担当者も、当然ながら過負荷となったサーバを将来、移行・再構築する手間を省くために、かなり余裕のある設定を行う。領域を全てプロビジョニングするのではなく、データに必要な物理容量のみで論理ボリュームを構成するシンプロビジョニングなどのテクノロジーと組み合わせると、共有ストレージは優れた経済性を発揮する。また、適切なロックメカニズムを追加すると、サーバとアプリケーションが同じデータへのアクセスを共有できるようになり、さらにメリットが生まれる。

 もちろん、PCIe SSDには共有ストレージにはできない用途がある。

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